映画『ドゥーニャとデイジー』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

正反対な2人

 

 

ドゥーニャとデイジー


アムステルダムからカサブランカへ2人の少女のロードムービー。真面目でしっかりしたムスリム系の少女ドゥーニャ(世界という意味の名前)にとっては母から逃げる旅。刹那的で行き当たりばったりなオランダ娘デイジー(欲情されるという意味の名前)にとっては母を捨てた実の父を探す旅。ドゥーニャは母に好きでもない親戚との近親結婚を押し付けられて家族に嫌気がさしていた。とっかえひっかえ様々な男に抱かれていたデイジーは妊娠を切欠に自分が本当に望まれて生まれた子供だったのか疑問を抱き始めていた。お腹の子供を生むか否かは実の両親が自分を生んだ経緯を知らなければ決められないと旅を始めた。

 

ロードムービーと呼ぶには前半の展開は旅の過程をすっ飛ばし過ぎなのだが自分探しの物語としては割とちゃんと筋が通っている方です。表面的にはちょっとした可愛らしいコメディなのだが、子供を生んで親になるって決断がいかにして下されるものなのかって所を適切に語ってくれています。同様に自分のルーツを探る事で今現在抱えている問題に答えを出そうとするタイプのロードムービーの『パニュとビルー』というインドネシア映画でも、長い道のりの割には答えはあっさりとしていて拍子抜けさせられる訳だが人生の真理なんて案外そんな物なのかもしれない。物々しく語られると逆にカルト宗教ぽくって胡散臭い。もっと当たり前の事なのだから、ちょっとした拍子に零れる何気ない一言にこそ隠れているのだろう。それにしてもムスリム系の家庭に流れてる音楽が流行のハキムってのは分り易過ぎ。