トゥルーマン・ショー
デカルト的懐疑
哲学的な問題提起好きのウィアなら、いつか必ずこれを
やるだろうと思っていたら、案の定マスコミ批判による
メディア映画ブームに紛れてこのデカルト的懐疑を提示した。
窓から見えるのは通りを歩く人か?否、私からは
そのコートと帽子しか見えていない。歩いているのが
機械人形だとしても、空が書割だったとしても
私には確かめる術がない。その偽りを疑うしかない。
双子との挨拶等、台本は出来過ぎな程に繰り返す日常。
ただの"天丼"によるウケ狙いではなく、この人物を
見ている側に近づける。彼のとった行動は日常を離脱して
何かを確かめようとする我々の探究心に共感を持たせる。
それこそが目的なのでしょう。あくまでも現代的な
切り口で最も古典的な問いかけを見せる作品です。