映画『武勇伝』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

コール・オブ・ヒーローズ

武勇伝

 

 

どちらにしても殺されるだろ

 

ベニーチャンが辛亥革命直後の軍閥の横暴がまかり通った混乱期を描いた作品といえば『新少林寺』はかなり面白かったけど今作はちょっと微妙。軍閥の大将の息子を殺人罪で捕えてしまった村が軍閥から脅されて解放するか否かで内部分裂の内ゲバ騒動を起こすってな話。どちらにせよ解放しても虐殺されるのは目に見えているのだから夜のうちに村ごと退避すればいいのにと思いながら見てたら「だから云ったじゃないですか~」と云いたくなるような展開。主人公の兄との対立にしても身内を守るか義を貫くかというありきたりなテーマしか見えて来ない。やたらと主要人物が無駄な死に方してるし、サモハンが殺陣師やってるアクションも大味。籠城戦はベニーチャンに向かない。彼に撮らせるなら追っかけやらなきゃ。大量のツボを使ったクライマックスのアクションにしてもギミックとして工夫が足りません。

 

それにしても大将の息子キャラってクズな上に弱過ぎ。なぜ兄貴は「兄弟で協力して対象をやっつけ軍閥を乗っ取ろうぜ」って提案に乗らなかったのだろう。それ以前にこの兄貴だけで倒せそうな気すらする位。軍閥に対する怒りって奴は1930年代の上海派から現代の香港映画に至るまで日本軍や国民党以上に憎悪を持って描かれる対象だけに農民のリンチで叩き殺されるべきただのクズって描かれ方をしてるのだろう。めちゃ超人ぽっくてつよつよな割に死にざまはあっけない。