パパとムスメの七日間
スモーキー酔拳バレエ
大林信彦の『転校生』みたいに父と娘の心と体が入れ替わってしまうちょっと不思議なベトナム映画。日本企業のベトナム支社が舞台になっていて監督は日本人って事だったので、ちょっと調べてみたらどうやら日本のTVドラマのリメイクらしい。どうりで心と体が入れ替わるシーンで露骨に大林風の過剰演出をしたりしてる訳だ。それよりも気になったのは主人公が務める会社が最近でも「チョントリー」発言で物議を醸したゴミウヨレイシスト企業DHCって所。日本の恥です。いつまで後進国日本の老害企業どもは鬼畜米の虎の威を借りていられると思っているのだろうか。そんなにアジアが嫌いなら日本から出ていけ。この作品に登場する日本人は優しく礼儀正しいが日本語以外は話せない間抜けなので支社で唯一日本語を話せる主人公が通訳を任される訳だが、その主人公の中身が娘の方にすり替わってるものだからテキトーな嘘で誤魔化したりしてカルチャーギャップコメディとしてもなかなか楽しめます。
この作品のテーマは云わば"勝ち組"VS"自分らしさ"のどちらを優先させるかって所。父親はロマンチストで常に自分らしく仕事を楽しもうとするのに対し娘は現実的に人生を勝ち抜こうとしている。それだけ今の若い世代に余裕が残されていないってのはむしろ急激に凋落し続ける日本の現象。本来なら自分らしく生きる事が、そのまま成功に結び付き自分の好きな仕事で結果を出し続ける人生が望ましい。だがその余裕は今の若い世代に残されていない。この現状に我々大人は大いに恥じ入らねばならない。どれだけ自分の既得権を守る為に子供たちから多くの無形社会資産を奪い続けたのか。それらをマネタイズして自分の無能さの穴埋めをした戦犯は日本の大人であってベトナムの大人ではありません。ただ酔拳バレエはなかなかイケててクライマックスでのタバコ技と組み合わせたパフォーマンスはエキサイトさせられました。こんな所でもソクーロフの「煙には魂がある」ってな名言が頭を過りました。
