『Grand Order2』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2022-03-01の投稿

劇場版 Fate/Grand Order

-神聖円卓領域キャメロット-

後編 Paladin; Agateram

 

 

お前が行け

 

人が変わって民衆の選別を始めたアーサー王をファラオと協力して倒そうとするってなアレの続きです。どうもゲームでは一部の6章に当たる人気エピソードらしい。アーサー王に仕える円卓の騎士たちの中にも最近の王の行動に疑問を持つ者が現れて主人公たちに手を貸す事で物語は決戦へと雪崩れ込む。だがファラオはアーサー王の壮大な計画を知っているからこそ彼女と対峙する事を迷っている。この世界の消滅を悟ったアーサー王は民の価値ある心を保存すべく選別を行っていたのだ。いわゆる民のデータを保存すべく行われたノアの箱舟的な計画を遂行しているのだ。それだけに一見冷酷にも思えるアーサー王の振る舞いにも目を瞑っていた。だが主人公たちの戦いを目の当たりにして彼も闘う決意を決める。そりゃ理屈の上で正しい事ってのはあるけれど、それ以上にいくら理屈で間違っていても目の前で困っている人を見捨てられないって惻隠の情こそが正しさの基礎ですから。ノブレスオブリージュは理屈ではなく感情から湧き上がるのが望ましいのです。そんな立派なファラオ王を中心に前作からお馴染みの英霊たちがバトルを展開。円卓の騎士たちそれぞれなりのアーサー王への忠義心のぶつかり合いがなかなかに胸アツです。

 

そもそもの設定が複雑だから世界が壊れたり再構成されたりの中で何が正しいのか分からなくなりそうだが、そんな中でも英霊たちの動機も主人公たちの動機も極めてシンプル。ただ大切な人を守る。その為のエゴをぶつけ合っています。その意味で見せ場の多い内容ではあります。それこそ円卓の騎士たちの熱いドラマの前に主人公たちの存在感が霞んでしまいます。とりあえず円卓を盾に闘うサーヴァントであるヒロインの方はそれなりに活躍するがマスターである主人公は口だけで尤もらしい事ばかり云って薄っぺらく感じてしまいます。まあポケモンにしてもジョジョ以降なのか最近は自分で闘わないスタイルのバトル系が増えていて、それは消費者の意識の低さに引き摺られての傾向らしいから、そんなみっともない主人公になってしまうのだろう。この手の「行け!」と命令して戦わせる系を見るにつけ「お前が行け」と突っ込みたくなります。