2007-04-02の投稿
マリアの受難
とんがってるねえ
デビュー作だけあって何とも荒々しい。ひとつ間違えばギャスパーノエ状態。むしろそうなった方が力を増す気もするけど。内容も『カルネ』に似てる。いわゆる女性に対する家族からの圧力。ほとんど外の世界と接触させず逃げられない状態に追い込むDV洗脳。娘を家に閉じ込めて父が選んだ相手と結婚させる。娘は自分の欲望と過去を自ら封じ込めて黙って父に従う。家の外には自分の居場所なんてないと思い込まされてるから理不尽な仕打ちにも黙って従っちゃう。実際にも田舎だけでなく都会でも家庭って閉ざされた環境で情報を閉鎖され世間の常識から隔離されてこーゆー状況に追い込まれる人はいると聞く。
先日見た『パリジュテーム』で最も熱かったトムティクヴァにやられてデビュー作と最新作をハシゴしてティクヴァ映画祭気分。彼はヒルシュビーゲル、ズゾリヒター、マーティーンス等の最近のドイツに多いコミック的な作風の娯楽作家たちのハシリとも云えるかも。ただ、今作品では家庭内の閉鎖的な面を描いてるだけに、やたらと分かり易く情報を詰め込むタイプの彼の演出は逆効果に見える。やたらとカメラが動き回り観客の目を飽きさせぬよう語る事で閉塞感が弱まる。唯一の楽しみだったヘソクリを奪われた事で始まる悪意に満ちた自己解放を周到に描き込んでいるのに映像的なメリハリが足りない。ちなみにヴィールナーを英語読みするとワーナーだからティクヴァを英語読みするとチクワになって獅子丸喜ぶ。(なんのこっちゃ)
