『まほろ駅前2』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2016-10-29の投稿

まほろ駅前狂騒曲

 

 

親になれなかった二人

 

前作との間にTVシリーズがあったようだが全く興味なしでスルーして今作拝見。相変わらずオフビートではあるが話の内容としては格段に面白くなった。いかにも商業的に事件を配置しようとしたのかカルト宗教の詐欺行為やら暴力団内の下剋上やら老人たちのバスジャックやらセンセーショナルな事件を配置しているが主人公たちとの関わりは薄く、むしろドラマの本筋は幼い実の娘を預かる事になった主人公たちの悩める日々って所だろう。かつて子供を失った男と子供に虐待してしまうかもしれない自分を恐れる男。父親になれなかったふたりが父親らしい事をして過ごした日々。逃げたり避けたりいじけたり、まるで小さなガキのように大人になる事を恐れる弱さがいかにも現代的で妙に共感してしまう所があったりして。いかにも商業映画的なダイナミズムを斜めにやり過ごし現代的な感情に切り込むって意味でも娯楽度の高さだけでなく作家主義的な意味でもシニカルに現代を切り取り続ける大森監督の代表作と呼べる出来栄え。少なくとも個人的には彼の作品の中で一番気に入りました。