『野性の証明』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2006-09-29の投稿

野性の証明

 

 

高倉ユンボ

 

実際、私の親類にも財力にモノ云わせる地方の有力者がいたから不思議なこっちゃない。親類がムカつく奴の脳天を鉈でカチ割っても金でモミ消しちゃったなんて話も聞いた覚えがある。有力者の血族は市民を殺せる。都市部での狭い付き合いだけじゃリアリティないかもしれんが、ちょっと一線越えて見回せば身近な事だと気付く。ましてやこの話の舞台は高度成長期の地方集落。そりゃ発展のドサクサで汚い事だってするさ。この時代にゃ経済効率の為に村がダムの底に沈むなんてよくある話。今の中国みたいなもの。そこに自衛隊で極秘に演習する特殊部隊を絡めたお話。横溝正史や松本清張みたいな前半のミステリーはなかなか楽しめたが後半はありきたりのアクションになっていてちょっとガッカリ。

 

いわゆる森村誠一原作で姫田真佐久撮影のシリーズ。今作品で残念なのはアクションとしての絵的なちょっとした矛盾があまりに多いって所。隠れ家を覗く双眼鏡の目線が俯瞰し過ぎてたり戦車とトラックの衝突で物理的にあり得ない角度に落ちたりユンボに踏み潰されそうなチンピラとの距離が開き過ぎてたり格闘の間が不自然だったりってな違和感が放置される。仁侠映画の延長にある安っぽさ。健さんにゃ刃物が似合う。でも喧嘩にユンボ使うってのも少し面白かった。新聞社の件は少々ガキ臭い。暴走族相手に無抵抗を貫けたから戦えるってのは甘過ぎ。子供の喧嘩なら戯れで歯を折る程度だが事業計画が絡んだ大人の喧嘩じゃ無力な市民が立ちはだかっても潰されて終わり。大人ならもう少し狡猾にならないと。