『斬』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2019-12-31の投稿

斬、

 

 

地方集落

 

塚晋はマニファクチュアな特撮を得意とする監督である。だからこそ今までコマ撮りを多用した独特の世界観でのSFアクション路線の作品が多かった。まあ文芸(『双生児』)やエロス(『六月の蛇』)やサスペンス(『悪夢探偵』)やスポーツもの(『東京フィスト』)も撮ってる訳だが、それらはあくまでも現代劇で、あまり典型的な史劇や時代劇に手を出す事はなかったが、その方向性は前作から大きく転換したかのようにも思えます。この作品は塚晋初の時代劇って事だが、その方向性は前作と同様に、いかに大規模なロケやセットを使わずに誤魔化すかって所で手腕を発揮しようとしてるようにも思えます。この作品の舞台は地方集落だから太秦みたいな所でロケする必要もスタジオに日本間セットを組む必要もありません。ただの古風な茅葺日本家屋位なら塚晋ワールドの美術的価値観を投影できるって訳です。そんな訳で戦に向かう侍たちにスカウトされた男と、そいつが守る集落のドラマが展開。物語自体は塚晋大好きな兵同士の対峙路線へと進みます。その方向性自体はあまり好きじゃないが今作もいかにも塚晋的な撮影手法をこれでもかと見せてくれます。ちょっと勾配のある草原で切り合うシーンの移動撮影が、あからさまにレールを敷かずにトラックの荷台から撮ったんだろうな~と思わせるショットもあったりして、それが塚晋ならではの野性味を感じさせてくれます。