2006-03-21の投稿
ブロークバック・マウンテン
雑味を消したら
近年様々なジャンルに挑戦していたアンリーがゲイって題材に戻って来たって事で第二の『ウェディングバンケット』を期待していたが少し違った。逆にシリアスでシンプルに作っている事で、あまり雑味が出なかったので父親三部作の根底にあった不思議な魅力が少し明確になったように思えた。当時やたら国外活躍してたチャイナ系のバイタリティ溢れる作品群の中で彼の作品は何が輝いていたのか。恋や家族への飾り気のないピュアな視点。三部作の根底にあったその部分は今回前面に出てる。でも雑味を消したら逆にその魅力も半減してしまった。三部作の魅力には今一歩至っていない。
ゲイの性愛を肯定するなって保守派の云う事は気にしなかったらしいけどあまりに普通すぎるって左派の指摘にはさすがの彼も戸惑っていたらしい。性別に関係なく恋をすると相手と何でも解り合ってるような気になるけど大切な事は何も見えてなくて家族の方が実はその関係の本質を見抜いてる。その事に気付いてしまった時の衝撃は純粋な恋心を描く上で普遍と云える。これは米国の内陸部を舞台にしたカウボーイ達のドラマでやたらカントリーが歌い込まれているけれど、最近の彼の作品は本人が常々云っているように無国籍化ってよりも米国化してるって感じ。
