『時間離脱者』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2019-06-30の投稿

時間離脱者

 

 

不可逆的マンセー

 

80年代の教師と現代の刑事の意識が夢で繋がってしまうというクァクジェヨン版『君の名は』って所だろうか。これがタイムループ物と紹介されていたが、タイムループってのは押井の『うる星やつら2』とかHGウェルズの『タイムマシン』とか最近では『江の島プリズム』とか同じ時間を何度も繰り返す作品を指すのであって、この作品の物語は日韓条約や北朝鮮の核廃棄に求められたように不可逆的。一度起こってしまった事をやり直す事はできない。だが未来の知識を過去に持って行って過去の事件を未然に防ぐ事で未来だけは変えられるというギミックをフルに使って主人公は現在の悲劇を避けようとする。

 

クァクジェヨンのタイムスリップものといえば日本で撮った『僕の彼女はサイボーグ』が有名だが、ギミックの使い方の上手さではこっちの方が面白い。「その手があったか」ってな対処法があったりして。それにしても手を切った犯人を人混みで見失うタイムカプセルのシーンは拍手よりも「マンセー」ってやれば一発で犯人が見つけられそう。ガールフレンドが何日も山奥に監禁されていたはずなのに汚し切れてないって所はいかにも彼の作品の甘い所。悪い意味で朝鮮映画の伝統的な良さを継承していない典型的な韓流ブームの申し子って感じ。