『蟹工船』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

2009-11-12の投稿

蟹工船

 

 

コサック舞踊

 

予告には何の魅力も感じなかったが久しぶりのSABU監督作品って事で拝見。やはりイマイチだった。リメイクとしてオリジナルを超えていないって以前にSABU作品ならではの勢いすらも感じられませんでした。もっと原作無視で壊してくれる事を期待していたのかもしれない。不景気だからって今更マルクスレーニン主義全盛のプロレタリア文学なんて時代錯誤。現代人は革命を起こしたい訳じゃない。ストを打ってもピケ破りの方が多い。そんな世代を団結で魅力できるだろうか?現代人が望むのは改善や変化。退化じゃない。オリジナル版に比べると前向きだが、やはり単なるコミュニズムの域を出ない。私としては、そんな理屈はバカバカしいみたいな無責任なまでに奔放な勢いを期待していた。それだけにこの内容は悪い意味で真面目過ぎました。

 

その一方でSABU作品らしいバカバカしさを見せるシーンもあります。コントみたいに舞台装置丸出しな自宅。貧乏子沢山。雨漏りだらけ。家の中を犬が通る。人も通る。労働者たちの不幸自慢のシーンは『MONDAY』の葬式シーンを思わせる滑稽さがありました。ロシア船に救われる件はオリジナルにない部分。この展開自体は話の中で自然。そこにいた中国人が語る教訓も社会の底辺にいる労働者たちに対する適切なアドバイス。社会の底辺で酷使される労働者の多くは「どうせ自分は」といういじけた意識が強い。それは現代と共通する。そこに語りかけたかのようだ。「何がしたいかイメージする」なんとも適切な悪く云えば無難な着地点。私はここまで真面目に作る必要性を感じません。実際、この手のアドバイスは多くの場合、低下層労働者たちに対して馬の耳に念仏な訳だから。