2015-08-30の投稿
光にふれる
障害はアドバンテージ
全盲のピアニストというよくあるネタな訳だが、この主人公は自分が高く評価されるのは審査員が盲人を特別扱いしているからだとライバルたちに揶揄されてやる気を失っている。確かに普通のピアニストより全盲の方が大衆ウケは良いから興行として考えるのなら全盲を選んだ方がお得感はある。そんな意図が審査員にあったかどうかは語られないが、もしあったとしても、それは大いに利用すべき要素なのだと私は思う。この話は彼がダンサーを志す女性と出会う事で互いに励みになり自分の表現に向かって再び歩み出すというもの。それにしてもこの主人公はいかにもブサメンなのに対してヒロインは明らかにモデル系。並べてみてもあまり絵にならない。そんなアンバランスさもこの作品の魅力のひとつに思える訳だが話としては青春ドラマとして必要な要素をキッチリと消化しているにも関わらず尻切れに感じてしまう。バランスの悪さ故に余計な所が気になったりするから。この作品はウォンカーウェイが若い連中に撮らせたようだけど、パトリックタム組から独立した頃の彼自身の作品と比べると光るモノを感じない。それが事なかれ主義の世代感に思えてしまうのは気のせいならば良いのだが…。