『ハル』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2018-08-14の投稿

ハル

 

 

入れ替え可能

 

タイトルから真っ先にキューブリックの『2001年宇宙の旅』を連想する訳だが、それと同時にスピルバーグに撮らせた『ai』とも共通するテーマ。それこそ『ピノキオ』や『フランケンシュタイン』と同様に人間になれない人造人間って所がテーマの中核にある。ただこの作品のロボットは別に人間になりたがっている訳ではない。それと同時にトリックがあって誰がロボットで在り得たのかという意味でも逆説的な発見を促す。「他人の痛みを正確には知り得ないのは人間も同じさ」それでも人には感情がある訳だが、それは情報の集積と経験則によって得られる反応。機械でも学び得る。そして入れ替えが可能。人間である事の普遍価値は表面的な違いからは生じず少なくとも芝居を見せる程度には人間を欺ける。この物語は飛行機事故で亡くなった恋人を慰める為に派遣された人型ロボットの話。亡くなった恋人の容姿で寄り添うというサービスであり決して死んでいなかったみたいに騙すサービスではない。ルービックキューブに願いを書くという見せ方とか細部の演出の見事さはさすがIG系。見せ場に寄せる為に多少予定調和になってる感はあったけどメロドラマとしても感情移入できる内容で、ロボットについて色々と考えさせられると同時に社会の底辺を共に生き残った悪友からの「生きてくれ」の一言にはグッと来た。