『逃走迷路』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2014-11-06の投稿

逃走迷路

 

 

薄っぺらい正義

 

アンドリューデイビスの『逃亡者』はかつて大ヒットしたTVドラマのリメイクな訳だが、そのパターンはプログラムピクチャーとしても好まれていたようで、ヒッチコックもこんな作品を撮っています。いわゆる殺人の濡れ衣を着せられた男が警察から逃げ回りながら真犯人を探すというパターン。ヒッチコックでなくても面白く作れるだあろう題材だけど自由の女神のクライマックスなど所々に彼ならではの鋭さは出ています。戦前の作品だが話のテンポの良さは今見ても通用するレベル。テロ集団の懐へと潜り込むハラハラ感。本棚のエスケープを指でなぞって合図したり舞踏会場の観客に悪事を暴露しようとしたり、なかなか面白く犯人側との駆け引きが描かれていたが、欲を云えば、この題材ならもっとスリリングに面白く料理できたのではないかとも思います。それとテロリスト側の大義に踏み込まないのは米国映画ならではのつまらなさ。ヒーロー側の薄っぺらい正義ばかりが語られて悪役に厚みがない。ただそれを感じさせない程に楽しませる事には余念がない。そういう意味でも典型的な古き良き米国ならではの娯楽って感じです。