『桃さんのしあわせ』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

2018-02-12の投稿

桃さんのしあわせ

 

 

本人役人脈

 

同じ香港ニューウェイブの社会派でもイムホーと違ってアンホイは社会的告発が苦手で等身大の人間追及へと方向性を改めたと本人も語っている訳だが、やたらとヒット作『女人四十』以降色々なジャンルに手を出している割に手法自体は無難に固まりつつある。かつて日本軍に両親を殺されて以来、長い間住み込みの女中を続けて来た老婆の話。彼女が倒れた時、様々な人々が彼女の世話をしに訪れる。かつてのアンホイ監督の同志ツイハークやレイモンドチョウやニンハオが本人役で友情出演してくれるって意味で『スタントウーマン』とも共通する業界内部の繋がりを感じさせつつ『おばさんのポストモダン生活』とも共通する老いた者たちの人情を中心に据えている。いかにも業界内部の横の絆で作られた温かい作品。昔の仲間が皆で女流監督アンホイを支えてやろうってな心意気が見える。それがいかにも等身大に監督の実感を醸し出す訳だが下手をすれば内向きになりかねないギリギリの所ではあった。