2009-11-12の投稿
冬冬の夏休み
誰もが悪戯っ子だった
母が病気で親戚の家に預けられた夏休み。地方集落に生きる知能障害の女性。そんなふたつの小説を元に組み上げられた物語。その割に知能障害の女性に関するエピソードは影が薄い。子供たちのあるあるネタの方が強く印象に残るから。ラジコンカーと亀を取り替えっこしたり男の子たちが妹を仲間外れにしたり怒った妹が男の子たちの服を川に流しちゃったり。この作品は『悲情城市』の一つ手前の作品。だから既にホウシャオシェン独自のスタイルが確立された以後の作品。でも子供たちの行動から連想させられるのは初期の商業作品に登場する悪ガキども。彼のスタイルで描き出された中では非常に分り易い。佐藤忠男氏はホウシャオシェン映画の魅力は日常の何気ない瞬間を見事に切り取っていると云う。それに関して『恋恋風塵』では共感できなかったが、この作品では共感できる。確かに子供時代にこんな悪戯をして怒られたなという記憶が感覚的に蘇るから。
