2019-01-05の投稿
ドラゴン×マッハ!
光と闇
パン兄弟等が活躍するようになって以来、香港とタイの映画界がコラボする作品は少なくない訳だが、この作品もそんな合作のひとつである事が一目でわかるタイトル。ただカンフーやムエタイを期待してはいけない。このタイトルだけなら私はスルーしていただろうが最近の香港映画界の注目株のひとりソイチェンの新作って事で興味を惹かれました。ソイチェン作品といえば『ドッグバイトドッグ』のエグ過ぎる暴力の中に見せる人間の尊厳とのコントラストに激しく心を揺さぶられた訳だが、そんな彼の作品の魅力が充分に発揮されたヴァイオレンス。その面において今作には満足を得られます。
いわゆる臓器の闇取引を巡って香港のヤク中潜入捜査官とタイの正義感が強い看守が力を合わせてシンジケートと闘うパルムービー。ヴィヴァルディの名曲に乗せて激しいアクションと兄弟の心臓を巡る生々しい縺れ合いと幼い少女と狼の精霊を見せる神秘的現象のカットバック。このコントラストこそがソイチェン作品に期待する所。わざわざ翻訳機能を使うなら香港人に話しかける必要はなかったり脚本的な穴は色々あるが、それでも惹き付けられてしまう魅力があった。命を救う為に弱者を犠牲にする臓器の闇取引という不法行為。前提となるテーマからして露骨なエグさがあって人間の光と闇のコントラストに酔わされました。