『ヘルケバブ』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2019-06-30の投稿

ヘルケバブ

 

 

アングラ劇風味

 

本格ホラーをやったトルコ映画は日本じゃ珍しいからなのか、あからさまにアラブ文化を主張する邦題を無理矢理付けているけど、誰もケバブなんて食べちゃいません。これが腸を引き摺り出したり目ん玉を突き刺したりと、なかなかのグロ描写をしていて重低音のMEも効いて結構気持ち悪くなる代物な訳だが、その物語自体は結構自由。良い意味でアングラ劇団の即興劇を見たかのような感覚。新人警官が主人公な訳だが、こいつと上司の対話がカットバックされたりして何が現実なのかを曖昧にする構成。冒頭から長々と警官同士の下ネタトークや仲間割れを見せたりパトロール中の警察車両の中で歌って踊ったり、ここに描かれる警官たちは何ともユルい。それらの前半がほとんど何の伏線にもなっていない話の構成もユルい訳だが、だからこそ何が起こるか分らず後半の残酷ショーで一気にジェットコースターが落ちる感じ。まるでデヴィッドリンチの『ロストハイウェイ』みたいな繋げ方もしていて、それなりにオチが付いた感はある訳だが、それにしても何の因果なのか背景がよく分らない作品でした。オスマントルコ時代の呪われた遺跡でカルト宗教団体みたいな連中に襲われる訳なのだが、そいつらが何者なのか、この若い警官が見ていた物は何だったのかとか謎を残し過ぎる感じがいかにもカルト。