『ザ・レイド GOKUDO』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

二代目と潜入捜査官

 

 

インドネシア産のヴァイオレンスアクション第二弾は堤真一と松田龍平が登場。前作ではスワット部隊とギャングが狭いビルを舞台に衝突するという単純明快なアクションだったが今回は日本のヤクザを含め複数のギャングの抗争と、それに巻き込まれる潜入捜査官という『インファナルフィア』シリーズを思わせるようなギャングムービーになっています。ボスである父親との確執や、その息子を支える潜入捜査官との間の偽りの絆やら、ドラマとしてウェットな部分もありながら冷酷無比な暴力で無情を叩きつけるって感じで単純にドラマとして悪くない仕上がりです。それに加えて結構ノンストップで、なかなかエグいヴァイオレンスが展開。鉄板で顔を焼かれたりハンマーで頭を砕かれたりグロい表現をドライに描写。野球バット男とハンマー女という個性的な殺し屋が登場したりしてアクションとしての分かり易さやインパクトも保持しています。この物語の主人公は潜入捜査官で刑務所でマフィアのドンの息子と親しくなる処からオペレーションが始まる訳だが、こいつの行動原理が話が進むに従って徐々に混乱し始める。それは自分を送り込んだ組織への疑心暗鬼であったりヤクザの中にある情や多少の義侠心に感染したりしたからなのか。それ以前からある最低限の命への敬意とモラルなのか。それは多分、捜査官本人ですら分からなくなっていたようにも思えます。とりあえず最後に残るのは自分を守ろうとする野生の本能。敵も味方もない。それにしても日本勢は豪華キャストであるにも関わらずイマイチ影が薄い。やたらと詰め込み過ぎていて日本ヤクザが登場する意味があまりないようにも思えました。クライマックスでの松田龍平の含み笑いが意味深で、それなりに印象には残るが出演時間が短く日本側の組織内の関係性もイマイチ曖昧なまま。ただ冒頭の処刑シーンからして何処となく引き絵に北野映画に近い狂気を感じただけに、それなりに日本のギャングムービーへのリスペクトはあるのだろう。