『ぼくはひとりぼっち』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2007-02-07の投稿

ぼくはひとりぼっち

 

 

坊や良い子だ金出しな

 

サタジットレイやアラヴィンタンと同じベンガル語圏だが、これはインドではなくバングラディッシュの映画。まるで先進国の文芸作品のようなヒンディとは違うこの安定した語り口を見てると、まとめてベンガル映画として分けてしまいたい気もする。ところが聞いた話によるとこのイスラム監督は異色でバングラディッシュ映画の主流は香港よろしく商業至上らしい。できればそっちの娯楽作品も見てみたいがなかなか日本に来る機会はなさそう。

 

これはボンボンのひとり息子が両親に黙って外へ遊びに行く子供映画。毎日召使いが御馳走を作ってくれる羨ましい御身分。両親がいくらでも与えてくれる玩具にも御馳走にも見向きもしない少年だが、外へ出て他人がらおごってもらった質素な食事には美味しそうにかぶりつく。贅沢三昧で息が詰まりそうな退屈を抜け出し、乞食の生活で息を吹き返す少年の心。一方両親は誘拐事件じゃないかと大騒ぎ。警察は勿論、新聞広告や懸賞金を出し祈祷師まで読んで大捜索。駅でホームレスをしてる少年と知り合ったボンボンは一緒に列車に乗り彼らの商売を手伝いながら隣町まで行ってしまう。犬を虐める少年とのやりとりとかコミカルに描かれるんだけど、少年との間に横たわる圧倒的な貧富の差が何とも云えない悲哀を残す。