2007-11-01の投稿
遠い道
カースト批判
カーストが低い下層民の暮らしは楽ではない。家系を切り詰め食うや食わず。夫が倒れりゃ妻や娘にひもじい思いをさせる。この物語の主人公は病上がり。だけど娘を嫁に出す為に無理して僧の家へと結婚式を頼みに行く。ところがそれを面倒臭がる僧は彼に野良仕事を命じてそれが終わるまで結婚式へは行かないと云う。仕方なく云われた通りに薪を割ろうとするが、空腹で力が入らない。僧は彼が空腹である事を知りながら食事すらも出さずにタダ働きを強制するのだった。
インドの西洋かぶれな都会の政治家には口先だけで反カーストを唱える人も多いらしいけど、この映画もまた何とも露骨なカースト批判。地方集落が舞台なのでカーストという戒律を妄信する人々が抱く憤りって形で描かれる。晩年のサタジットレイ作品には思想的な面が直接的に出てるものが多い。それでもこの作品でもシンプルながらに作りの上手さには舌を巻く訳だが。嘆く妻のバックに牛の群れを使って煽るやり方なんてなかなか思い付くものじゃない。カーストが高い僧の横暴とそれに対する下層民の静かなる反抗。もう少し内面的な所にも迫って欲しかったけど。
NFCにてインド映画の輝き。
