2021-07-25の投稿
バトルプレイヤー1
リアルなFPS
邦題からも分かる通り配給側はスピルバーグのヒット作に便乗しようとしているのでしょう。ただ米国はDCやマーベル等のコミックから様々な有名映画コンテンツというIPビジネスの延長線上に仮想世界が描かれるのに対して、ロシアでは同じバーチャルの世界でもフォトリアル系コンテンツのゲームばかりです。ここに登場するのはゾンビアクションであったりミリタリーアクションであったり暴力の疑似体験をリアルに楽しませるタイプのFPSコンテンツです。それをやり過ぎた消費者は本当に殺人鬼化するので、それを取り締まる元プロゲーマー集団Ц課ってのが組織されていて、そいつらが手柄を競い合ううちにミイラ取りがミイラ状態で犯罪者化してゆくという皮肉な内容です。
ゲームは単純なカタルシスの快楽だけを求める愚民を奴隷化する為の麻薬。子供がジャンクな駄菓子が与えてくれる一時的な快楽の中毒になり本当は体が栄養のある食品を求めているにも関わらずジャンクな駄菓子を食い続けて健康を害するのと同様に近年の愚民はTVやSNSやゲームが与えてくれる安易な快楽を消費し続ける事で無能化して底辺労働で使い潰される奴隷になっています。ノルウェーやニュージーランドに於ける白人至上主義者による大量虐殺のヘイトクライムも犯人の趣味はネトウヨ仲間とオンラインでFPSを行い共にバーチャルの人殺しを楽しむ事でした。この手のフォトリアル系の殺人シュミレーションFPSは安定して売れるので安易に量産されています。そうやってスマホ猿になったバカを食い物にする仕事は安定した食い扶持ではあります。
だがSDGsに反した愚かなビジネスモデルである事は確かです。あくまで短絡的な個人的快楽にアプローチする類の娯楽は社会自体を危機に晒します。それより知恵を絞ってケミストリーを生み仲間との信頼関係を築く事にインセンティヴを与える娯楽を生み出した方が結果的にビジネスが長続きします。バーチャルで大衆を麻薬付けにするならば同時に彼らが社会を保守する道徳的な感情を抱けるだけの薬となるコンテンツも生まなければならない。デストピア的なバーチャルの未来を描いた今作は反面教師的にそんな大志を抱かせてくれました。
