秋田竿燈まつり-Akita Kanto Festival ...
舟木一夫
2025ふれコンで歌った曲⑦
「いっそセレナーデ」
本題に入る前に―。8月上旬の東北地方は祭り一色です。2日(土)から7日(木)の青森ねぶた祭、1日(金)から7日(木)の弘前ねぷたまつりのほか、3日(日)から6日(水)は秋田竿燈まつり。最大12mの竹竿に9本の横竹を渡し、46個の提灯を9段に吊り下げたものを若者衆が額、腰などで支え、囃子とともに練り歩きます。5日(火)から7日(木)は山形花笠まつり。山形県の県花・紅花で染めた造花で飾られた“花笠”を使って華麗な踊りを披露します。6日(水)から8日(金)は仙台七夕まつり。青竹に飾られた豪華絢爛な七夕飾りは夏の風物詩で、200万人以上の人出がある国内最大級の七夕まつりです。
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本題に入ります―。舟木一夫さんが2025年6月23日(月)と28日(土)に東京、大阪で行った「ふれんどコンサート」(通称・ふれコン)で7曲目に選んだのは、井上陽水さんが1984年10月24日にフォーライフ・レコードからリリースした23枚目のシングル「いっそセレナーデ」(作詞&作曲・井上陽水)でした。舟木さんは今年のふれコンではオープニングでも井上陽水さんの「リバーサイドホテル」を歌っています。
それにしても「いっそセレナーデ」って、どう解釈したらいいんでしょう。小学館のデジタル大辞泉によると、「いっそ」には①中途半端な状態を排して思い切ったことを選ぶときに用いる。とやかく言わないで。むしろ。いっそのこと。「そんな絵ならいっそ掛けないほうがましだ」②予想に反した事を述べるときに用いる。かえって。反対に。「近ごろは角帽をかぶった学生のほうがいっそ異様だ」
そして、③好ましいものをあきらめ、意に添わないことを選ぶときに用いる。どうせ。「一木もやどりのたよりならねば、一にぬれた袖笠」<浮・一代男・一>④まったく。たいそう。「大屋さんのおかみさんへ一追従ばかりいって」<滑・膝栗毛・発端>〔類語〕むしろ・かえって――などとあります。これに「セレナーデ」を付ける…並みの発想で歯りません。
その「セレナーデ」はラテン語で「穏やかな」を意味するserenusが語源ということです。つまり「穏やかな雰囲気の中、夜に演奏される音楽」ということになります。イタリア語はserenata(セレナータ)、英語はserenade(セレネイド)、フランス語はserenade(セレナード)、ドイツ語ではSerenade(ゼレナーデ)ともStandchen(シュテントヒェン)とも言うそうです。
さらに調べると、日本語では夜曲(やきょく)または小夜曲(さよきょく、しょうやきょく)とも呼ばれ、恋人や特別な人へ愛や感謝の気持ちを込めて、夕べや夜の窓辺などで演奏されたり歌われる音楽を指すということです。そう言えば、映画「ロミオとジュリエット」では、ロミオが夜のバルコニーでジュリエットに向けて愛を告白するシーンにセレナーデが流れましたね。
ところで、「いっそセレナーデ」はサントリー角瓶のイメージ・ソングに採用され、陽水さん自身もTVCMに出演しました。CMの企画は当初からあって、陽水さんは2~3曲用意して臨みましたが、一番CMに向いていないと思っていた曲が選ばれたと言われています。発売後の12月10日付オリコン・シングル・ランキングで最高4位になり、35.3万枚を売り上げました。ちなみに、2位の中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」、3位の安全地帯「恋の予感」とともに陽水さんの曲が上位を占めることになりました。
あまい口づけ
遠い想い出
夢のあいだに
浮かべて 泣こうか
忘れたままの
恋のささやき
今宵ひととき
探してみようか
恋のうたが 誘いながら 流れてくる
そっと眠りかけたラジオからの
さみしい そして 悲しい
いっそ やさしい セレナーデ
サントリー角瓶のCMでは、1979年ころにデザイナーの三宅一生さんを起用し「誰がつくる、次の時代。」としたコピーが、企業としてのあり方や社会にメーセージを投げかける広告の走りになりました。1980年代には女優の大原麗子さんを起用した「すこし愛して、ながく愛して。」が注目されました。当時、CMと同じ大原麗子さんが着物姿で微笑んでいる壁時計が出ましたが、今も私の部屋で時を刻んでいます。
その後に井上陽水さん、俳優の菅原文太さん、作家の村松友視さんらが続くことになります。陽水さんのCMは何かを話すわけでもなく、「いっそセレナーデ」のタイトル、歌詞のように、あまり意味のない(?)ナレーションに合わせ、くすんだ壁の汚れた風呂場でウィスキーを飲むという現実感のない内容です。しかし、何とも言えない男の色気が感じられるCMになっていましたね。
「いっそセレナーデ」はその後、高橋真梨子さんのカバーアルバム「Special Version/秒Ⅱ」(1990年)、小野リサさんのトリビュート・アルバム「YOSUI TRIBUTE」(2004年)、小椋佳さんのアルバム「夢歌詩30 Songs on Dream」(2005年)、中西保志さんのカバーアルバム「Standards」(2007年)、布施明さんのカバーアルバム「Ballade」(2008年)、大橋純子さんのカバーアルバム「TERRA2」(2009年)、阿部芙蓉美さんのミニアルバム「Birthday」(2009年)、秋川雅史さんのアルバム「Fantasista」(2010年)、ZEROさんのアルバム「Beautiful Songs Ⅱ」(2012年)などに収録されています。
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下は「akiraの徒然日記」でスタートした連載「和泉雅子という人生」です。
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タブレット純が「青春歌謡聖地純礼」を出版
歌手やお笑いタレントとして活躍しているタブレット純さん(50)が舟木一夫さんの「高校三年生」の歌碑や出生地を訪ねるなどしてまとめた「青春歌謡聖地純礼」という本が、このほど山中企画から出版されました。定価2000円(税込み)。“聖地純礼シリーズ”としては4冊目になります。舟木さんのほか、三田明さん、安達明さん、西郷輝彦さん、本間千代子さん、梶光夫さんらが登場します。
目次を見ると、「『高校三年生』の歌碑を訪ねて」/「青春歌謡の大本営『安達明』を巡る旅」/「三田明、『美しい十代』の頃を語る」/「泉麻人と『青春歌謡』を語る」/「青春18きっぷで辿る西郷輝彦旅」/「青春歌謡の女神・本間千代子さんに会う! の巻」/「舟木一夫聖地巡礼~出生地を訪ねて」/「丘灯至夫先生、ご令息ご令嬢インタビュー」…など。
タブレット純[プロフィール] / TEICHIKU RECORDS
タブレット純さんは1974年8月31日、神奈川県相模原市の出身。幼少期からラジオで古い歌謡曲に目覚め、物まねをするうちにクラスの人気者に。東京・新宿の歌声喫茶「ともしび」でアルバイトするなどした後、27歳の時に和田弘とマヒナスターズに「田渕純」の芸名で加入。その後、ソロ歌手として活動しながら、寄席やお笑いライブにも進出し「ムード歌謡漫談」という新しいジャンルを確立して活躍しています。
「『高校三年生』の歌碑を訪ねて」では―。そもそも郡山に来た理由は、駅前にあるという「高校三年生」の歌碑を拝むため、に他ならないのですが、ぼくがこうして山中さん(伊知郎。本の企画者)に先んじて前乗りをしたのは、それに因んだ、さらなる“付録”がお目当て。作詞者である福島出身の丘灯至夫先生には、故郷が舞台となった大ヒットもあり、その碑もまた「高校三年生」における“先祖のお墓参り”たる由縁を秘めているからなのです。その歌とは「高原列車が行く」…といった調子です。
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下は神野美伽さんのオフィシャルブログです。
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