美月が女優になることを決心した車折(くるまざき)神社。中に芸能神社がある=京都市右京区

 

「オードリー」~出演者の“歴史”㊤

―後半に第54回「オードリー」―

 

―神野美伽オフィシャルブログも―

 

十日恵比須神社ホームページより

 

 本題に入る前に―。冬の衣類を夏の衣類に入れ替える「衣替え」の時期になりました。もともと中国で始まり平安時代に日本に伝わった習わしで、宮中行事として夏装束と冬装束を切り替えていました。当時は「更衣(こうい)」と呼んでいました。江戸時代には年4回に制度化され一般にも広まりましたが、明治時代に新暦が採用されると、公務員の制服を6月1日に冬服から夏服へ、10月1日に夏服から冬服に年2回衣替えする習慣になりました。もっとも、寒冷な北海道では半月ずれた6月15日と9月15日に行うことが多く、温暖な沖縄など南西諸島では5月1日と11月1日に行っています。

 

 

 

 本題に入ります―。朝の連続テレビ小説「オードリー」がNHKBSで再放送されています。最初の放送は2000年10月2日から2001年3月31日までで、ちょうど24年前でした。主演を務めた佐々木美月役の岡本綾さんは当時、17歳から18歳でしたが、その後、スキャンダルもあって芸能界を事実上引退しています。クリキンこと栗部金太郎役の舟木一夫さんはじめ多くの出演者は現在も活躍中ですが、それぞれが当時何歳で、その後はどんな活動をしているのかを調べてみました。まずは㊤から―。

 

 <岡本綾> 佐々木美月。1982年12月9日、東京都の出身。「オードリー」出演時は17歳から18歳の高校生。美月は今後、椿屋の女将を務めた後、大京映画の社長に就く杉本英記に監督を命じられ「MUSASHI」を完成させます…。2002年7月公開の「おぎゃあ。」で映画初主演し、ハワイ国際映画祭でネットパック特別賞(最優秀アジア映画賞)を受賞。2004年9月に事務所を退社後、スキャンダルなども重なり、2007年5月に「女優として内から引き出すものがなくなり、表現者としての限界を感じています。自分自身を見つめ直す時間がほしい」と、新事務所も退社して無期限で芸能活動を“休養”しました。事実上の引退宣言でした。現在41歳。

岡本綾

 

 <岸由紀子> 美月の幼児・幼稚園時代。「オードリー」出演中は5歳くらいか。「オードリー」の後は御家人斬九郎、京都迷宮案内、新いのちの現場からなどに出演。現在は20代後半とみられますが、芸能活動はしていないようです。

岸由紀子

 

 <大橋梓> 美月の少女期・小学生時代。1988年8月27日、大阪府生まれ。「オードリー」出演時は12歳。中学・高校時代は学業に専念し、関西学院大進学を機にアンクルに所属して活動を再開しました。朝ドラの「ごちそうさん」、「マッサン」、「べっぴんさん」、「スカーレット」、「おちょやん」、「舞い上がれ」に出演したほか、民放では「遺品整理人 谷崎藍子5」(テレビ朝日)、「科捜研の女15 第11話」(同)などで活躍。エースコックの「ワンタンメン」などのCMにも出演しました。

 

 <茂山逸平> 美月のひとつ違いの弟・梓。1979年6月12日、のちに人間国宝となる二世茂山七五三の次男として京都市で誕生。1983年に「業平餅」の童で初舞台を踏んでいます。俳優としては20歳の時に出演した「オードリー」のほか、同じ朝ドラの「京、ふたり」「カーネーション」「ごちそうさん」、大河ドラマ「武蔵MUSASHI」などに出演。2008年に結婚、1男1女の父親。2009年には尾上菊之丞さんと「逸青会」を結成しています。44歳の現在は狂言方大蔵流能楽師。ドラマでは京都大学医学部を卒業後、医者になります。

 

 <奥村紫龍> 梓が4歳の幼少期の子役。1994年、大阪府出身。1999年にミュージカル「スクルージ」に出演。ドラマ出演当時、ピアノと和太鼓が得意でした。2002年4月に大阪・梅田コマ劇場で行われた一路真輝&高嶋政宏主演のミュージカル「王様と私」にも出演していますが、その後の詳細は分かりません。

奥村紫龍

 

 <小谷力>  梓が9歳から10歳の少年期の子役。1990年、大阪府の出身。テレビドラマでは、ABC放送の「なんじゃそら三人組(1996年~2000年)、ABC放送の「新・部長刑事」(1996年~1999年)、MBS放送の「悲しみを勇気に変えて」(2005年)、舞台は里見浩太朗特別公演「花の生涯」(1998年、劇場飛天)など、映画は西垣吉春監督の「森の学校」(2002年7月)などに出演しています。 

小谷力

 

 <賀来千香子> 1961年10月17日、東京生まれ。モデルとして「JJ」などのファッション誌で活躍後、1982年にTBSドラマ「白き牡丹に」で女優デビュー。38歳で出演した「オードリー」は初めてのNHK連続テレビ小説で、美月の母・愛子役。椿屋の女主人・滝乃の世話で春夫と見合い結婚。赤ん坊のころからたびたび滝乃に美月を連れ出されますが、強く抵抗することはできません。美月の教育方針をめぐっても対立し美月の心を混乱させますが、母親らしい愛情で支えていきます。実生活では1994年1月に俳優の宅麻伸さんと結婚しましたが、2012年2月10日に離婚しました。二人の間に子供はいません。俳優の賀来賢人さんは甥(兄の息子)です。

 

 <段田安則> 1957年1月24日、京都市生まれ。青年座研究所を経て1981年に野田秀樹主宰の「夢の遊眠社」に入団、1992年の劇団解散まで主力俳優として活動しました。「オードリー」は「ふたりっ子」(1996年)を生んだ脚本・大石静さんと演出・長沖渉さんによる2度目の朝ドラですが、その「ふたりっ子」で主人公の父親役を好演。43歳で出演した「オードリー」でも美月の父・春夫を熱演しています。春夫は12歳の時にロサンゼルスに移民し、カリフォルニア大工学部建築学科を卒業。終戦後に故郷の京都に戻り、滝乃の世話で愛子と結婚し、椿屋の隣に住んで翻訳や観光ガイドで生計を立てるようになります。美月をオードリー・ヘップバーンにちなみオードリーと呼びますが、それが美月を深く傷つけ、やがて断絶をもたらしていきます。晩年については前もって書かないほうがいいかと思いますので…。

 

 

 

 <大竹しのぶ> 1957年7月17日、東京生まれ。1973年、フォーリーブスの北公次さん主演のドラマ「ボクは女学生」の一般公募で芸能界デビュー。私生活では1982年にテレビディレクターの服部晴治さんと結婚。長男・二千翔(にちか)。187年に夫をがんで亡くし、翌年に明石家さんまさんと再婚。長女IMALU。 1992年に離婚。43歳の時の「オードリー」はその後の出演です。100年の伝統を持つ旅館・椿屋の一人娘、吉岡滝乃として生まれ、椿屋を継ぐことが使命と教え込まれ、両親の死後、22歳の若さで女主人となり、以後は結婚もせずに老舗旅館を完璧に切り盛りしています。美月を実の娘のように可愛がり、やがて美月を椿屋で生活させるようになります…。滝乃も晩年については初めて見る方のために書かないほうがいいようです。

 

 <戸田恵梨香> 1988年8月17日、兵庫県神戸市の出身。11歳の時に「オードリー」に出演、吉岡滝乃の少女時代の回想シーンに登場しました。2004年に現在の所属事務所から声をかけられ、高校に進学せず単身上京して本格的に女優業に専念しました。テレビ、映画、舞台で活躍後、2019年9月から2020年3月まで放送されたNHK連続テレビ小説「スカーレット」のヒロインに抜擢され、滋賀県信楽を舞台に女性陶芸家・川原喜美子の半生を演じました。2020年12月10日に俳優・松坂桃李さんと結婚、2023年5月4日に第一子を出産しています。

 

 

 <藤山直美> 1958年12月28日、大阪市生まれ。父は喜劇俳優で松竹新喜劇で活躍した藤山寛美さん。3歳の時、寛美さんが主役を務めたNHKドラマ「お好み新喜劇・初代桂春団治」でデビューし、2006年下半期放送のNHK連続テレビ小説「芋たこなんきん」では、47歳でヒロインの花岡町子を演じました。41歳で出演した「オードリー」では椿屋の住み込み従業員、宮本君江役。熊本県・山鹿の農家に生まれたものの、早くに両親を亡くし、10歳の時に椿屋に奉公に出ます。大の映画好きで、時代劇スターの物まねが得意。少女時代の美月の唯一の話し相手で、初めて撮影所に連れて行き、「あんた映画作りや」という君江からの言葉は、長く美月の心の支えになりました。君江の少女期の回想シーンは大橋絵里加が演じました。

 

 <長嶋一茂> 1966年1月26日、長嶋茂雄&亜希子夫妻の長男として東京・田園調布で誕生。1988年、立教大学からドラフト1位でヤクルトスワローズに入団し、父が監督に就任した読売ジャイアンツに移籍後、1966年に現役引退しました。引退後はタレントに転身し、スポーツ番組のリポーターやキャスターを務め、俳優としては34歳で出演した「オードリー」の錠島尚也役でその地歩を固めました。戦後の混乱期に親に捨てられ、横浜の施設で育ちますが、施設からの脱走や窃盗を繰り返した末に神戸の少年院に入れられ二度も脱走したことがあります。18歳で大京映画にニューフェースとして入社し、主演映画も決まっていましたが、企画が流れて大部屋俳優に落ちぶれました。後にスターになると恋仲になった美月を冷たく捨てます。美月の監督映画「MUSASHI」に主演して成功後、美月にプロポーズしますが断られます。 

 

 <仁科貴> 1970年8月21日、京都府生まれ。亡き俳優の川谷拓三さんは父。明治大学進学後は2年ほど父のマネジャーを務め、1996年に俳優デビューします。30歳の時に中山晋八役で「オードリー」に出演後の2002年に大麻所持で逮捕され、執行猶予付き判決が出され謹慎します。2003年に復帰し、田壮壮監督の「呉清源~極みの棋譜~」(2007年)、北野武監督の「アキレスと亀」(2008年)などに出演しました。ドラマでは美月の幼馴なじみ。京都・太秦の撮影所近くのうどん屋「カツドウ屋」の一人息子。三度の飯よりチャンバラが好きで、少年時代から子役出演者のボスとして大京映画の撮影所に出入りしていました。美月への愛の告白に破れ役者に見切りをつけて殺陣師に転身します。

 

 <柴田光> 1989年10月1日生まれ。11歳の時に中山晋八の幼少期を演じました。映画では井筒和幸監督の「岸和田少年愚連隊」(1996年3月)、「岸和田少年野球団」(2000年7月)、西垣吉春監督の「森の学校」(2002年7月)など、テレビドラマではNHKの「新ズッコケ三人組」などに出しています。

柴田光

 

 

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美月との約束の時間に錠島は現れず…

 

 54回。美月(岡本綾)が布団の中で、焚火の炎の前での錠島(長嶋一茂)との会話を思い出しています―。錠島「ここから逃げたい」。美月「どこか行こ。海がええ。京都には海がないもん」。錠島「俺の知ってる海は絶望の象徴だった。美月「そんなら緑のいっぱいある山。一緒に行こう、ね」。錠島「一緒に? その言葉は初めてだ」。美月「美月と一緒に…」と言いかけると、錠島が「美月」と言ってキスをします。

 

 滝乃(大竹しのぶ)と愛子(賀来千香子)、春夫(段田安則)が話あっている所へ、美月が外出姿で現れます。愛子「どこへ行くつもりなの」。滝乃「あかん。どこにも行ったらあかん」。春夫「あの虫けらめ」。美月「パパ止めて。あの人、虫けらやない。私の大事な人なんや」。愛子「必ず戻っていらっしゃい。約束できるわね」。滝乃「何言うてんの」。美月「ママ、約束する」と言って出かけようとします。春夫が立ち上がって「オードリー」と声をかけますが、美月は「パパは間違うてる、お母ちゃまも」。滝乃は春夫に「止めなさい」と言って泣き崩れます。愛子「信じましょう、あの子を」。滝乃は「みんなあの子のためやのに…」と言って泣き続けます。

 

 美月は雨の中、京福電車・西太秦駅のホームで錠島を待ち続けますが、約束の9時を過ぎても現れません。美月は泣きながら駅を出ます。荷物を持った錠島が電柱の後ろに隠れて見ています。そこへ晋八(仁科貴)が現れ美月に傘をかけ抱きしめた後、駅に戻ります。美月「どこへ行くの」。晋八「東京や。中山晋八、男の勝負や」。晋八は美月の手荷物を見て「ジョーさんか」。美月「ふられたんかな、私」。晋八「美月をふったんか、あいつ」。美月は英語で「駅のホームで雨に濡れながらバカ面の女」と言うと、晋八は「何や、それ」。美月が「カサブランカ」と小声で答えます。

 ※「君の瞳に乾杯」の名セリフでも有名な「カサブランカ」は1942年11月に公開された米映画。監督はマイケル・カーティス、出演はハンフリー・ボガート、イングリット・バーグマンら。アカデミー賞で監督賞など3部門を獲得しました。

 

 美月が「東京で時代劇やるんや」と聞くと、晋八は「わからん」と言って泣きながら駅を飛び出し、二人の思い出の流れ橋に来ます。追いかけて来た美月に晋八は「美月に会うてへんかったら、今頃新幹線や。役者止めてもええ。ワイと結婚してくれ」。無言の美月を見て、持ってきた木刀の1本を美月に持たせて「嫁はんになってくれんでええ。美月は宮本武蔵や。これでワイを斬ってくれ」と頼みますが、美月は「晋八君を斬れへん」と断ります。晋八が斬りかかると、美月は反射的に「えいっ」と言って斬ります。晋八は川に落ち、泳ぎながら「今日からは殺陣師・晋八やー」。 

 

 ▼以下は、以前に錠島が美月に語った自らの“歴史”です。

 横浜の施設の便所からクソまみれになって何度も逃げた。公園のベンチやガード下は俺にとって贅沢な寝場所だった。東海道を西へ西へと歩いて逃げた。靴が破れたら靴を盗み、腹が減ったら食い物を盗み、生きるには盗むしかなかったんだ。寒くて車のシートを盗んで毛布代わりにした。神戸に辿り着いたら土砂降りだった。海からの風が冷たく、やせこけた体が飛ばされそうになった。立っているのが辛くて、もうこのまま死んでもいいと思いながら、ひどいもんだ。屋根のある部屋で寝たのは何か月ぶりだったのか。その後のことは覚えていない。気が付くと、警察に強盗犯として捕まっていた。強盗なんかしていない。雨が降ってた。眠る場所が欲しかったんだ。ただ寝てたかっただけなのに。そんな言い訳が通じるはずもない。少年院ではリンチがあって何度も殺されそうになった。もう死んでもいいと思ったはずなのに、脱走するたび雨水を飲んで生き延びた。人間ってしぶといもんだと思った。18になって少年院を出る時、仲間たちから言われた。お前のような奴はヤクザか役者になるしかないな。それで太秦に流れ着いた。  

 

 

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下は神野美伽さんが2日(日)にUPされたオフィシャルブログです。

 

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