ギリシャ サントーニ島イアの教会
舟木一夫~2024年コンサート曲㉙
「青春の鐘」
―後半に22・23回目の「オードリー」―
リンゴの花
本題に入る前に―。島崎藤村の「初恋」は藤村が25歳(明治30年8月)の時に発表した『若菜集』に収められていて、七五調のリズムが心地いい文語定型詩です。佐藤輔子(すけこ)という女性がモデルと言われています。詩には林檎(りんご)が2回、林檎畠(りんごばたけ)が1回出てきます。りんごの花は4月から5月にかけ、芽から5~6つが放射状にまとまって中心から咲き始めます。つぼみは濃いピンク色で、花びらは白です。花言葉は「優先」「選ばれた恋」「好み」「選択」。りんご農家では、8月から11月の収穫期に向け、生育の良い花だけを残して、それ以外を摘み取る花摘みや受粉作業に追われます。「若菜集」って、いい詩集ですよ。
◇
舟木一夫さんは2024年通常コンサートのエンディングに選んだのは、1969年1月にリリースした「青春の鐘」(作詞・丘灯至夫、作曲・古関裕而)でした。声が太くなり透明感がなくなったことなどから、「歌唱法に舟木一夫らしさがなくなってきた」という声が多かった作品です。一部に言われたタバコのヘビースモーカーのせいだという指摘は正しくなく、舟木さん自身に“寒い時代”が忍び寄ってきていたんです。
この頃のことを、舟木さんはのちに「(前年の)1968年は舟木一夫が思い切り暗転するスタートの年で、歌の企画もロクなものが出てこず、自分の歌もズタズタに崩れ、ドロ沼に入り込んでいった」とまで語っています。改めて、この時の「青春の鐘」を聴き直してみると納得できます。私個人的には、一浪して大学受験勉強をしていた時で、落ち込んだ際に古関さん作曲のこの歌で励まされたものですが……。
舟木さんは20歳の若さで、東京・代沢にある元大学教授の豪邸を購入し、故郷から家族全員を呼び寄せ、家族水入らずの生活を続けていましたが、1年、2年…と過ぎてゆくとギクシャクするようになっていました。舟木さんに対して、家族はかつての「上田成幸」ではなく「スター・舟木一夫」として見るようになり、父親を含めて舟木さんのフトコロをあてにするようになってきたのだと言います。
「青春の鐘」は前作「残雪」(監督・西河克己)以来1年ぶりに日活で映画化され、1969年1月11日に公開されています。監督はテレビドラマ「雨の中に消えて」でも数話を監督した鍛冶昇さん、脚本は倉本聰さん、共演は松原智恵子さん、和田浩治さんら。映画の公開と歌のリリース時期がほぼ同じで、舟木さんは様々な意味で「青春の鐘」の歌も映画も“青春の総決算”とした作品でした。
舟木さんは「青春の鐘」というタイトルを見た時、「今更また“青春”なのかと思い、自分が主演の映画もこれが最後になるだろうと予感していた。この映画でコーちゃん(和田浩治)ととても仲良くなったというプラスの面もあったが、舟木一夫による日活最後の映画としてはもう少し骨格のあるものをやりたかった」と振り返っています。この頃の舟木さんの発言内容で前向きのものを見つけることは出来ません。
舟木さんはこの後の映画の主演作は1969年2月21日公開の松竹映画「永訣 わかれ」(監督・大庭秀雄、共演は大空真弓、尾崎奈々さんら)と、同年12月17日公開の「いつか来るさよなら」(監督・川頭義郎、共演は光本幸子さんら)だけになります。歌も1971年9月にリリースした「初恋」(作詞・島崎藤村、作曲・若松甲)が最後の中ヒット曲になり、その後は大きなヒット曲はなくなりました。
舟木さんは最近、この曲をしばしば歌ってくれますが、“青春”を強く感じさせてくれる曲です。舟木さんには古関さん作曲の作品が「青春の鐘」のほかにもあり、以下に一覧表にしました。私のつたないブログをよんでいただいています舟友さんからのご指摘(下の[訂正&お詫び]参照)に基ずくものです。
①1965年8月 「あゝ鶴ヶ城」
(作詞・野村俊夫)
②1969年1月 「青春の鐘」
(作詞・丘灯至夫)
③ 同 B面 「幸せを抱こう」
(作詞・丘灯至夫)
④1975年1月 「別れの瞳」
(作詞・門田ゆたか)
※「愛の新雪」(作詞・石本美由起、作曲・佐伯亮)のB面
⑤1975年4月 「嵯峨野雪草紙」
(作詞・吉田旺)
※アルバム「暦 12ケ月の愛の詩(うた)」の一月の詩
⑥1975年4月 「日本晴ればれ音頭」
(作詞・石本美由起)
※美空ひばり、島倉千代子、都はるみ、舟木一夫、大川栄策
以上の他に、古関さんの故郷・福島市の「福島わらじまつり」のために
委託されて作った「わらじ音頭」(作詞・茂木宏哉、補作・丘灯至夫)が
あります。この曲は1970年春ごろに制作されたと思われます。加賀城み
ゆきさん(故人)とのデュエットの形になっています。
[訂正&お詫び]
私が当初書いていた他に、お二人の舟友さんから相次いで、上の表の③④⑤⑥の曲も古関さん作曲の作品だというご指摘がありました。舟木さんのことを書いている者としてお恥ずかしい限りです。ご指摘に感謝申し上げるとともに、ブログを読んでいただいています皆様にはお詫びして訂正いたします。申し訳ありませんでした。
★ ★ ★
第22回では美月が滝乃に口答えを…
美月(大橋梢)は晋八(柴田光)の付き人になってロケに行きます。晋八が橋から川に落ちる大事なカットですが、泳げないことを伝えていなかった晋八は、直前に泣き出して撮影を続けることが出来なくなります。ここでまたまた出てくるのが助監督の杉本(堺雅人)です。
杉本は監督に出来るのがいますと言って、美月に頼みます。美月も泳ぎには自信がありませんでしたが、衣装にカツラを付けて吹き替えをすることになり、代わりに川に飛び込みます。監督からOKが出ると拍手が沸き起こり、美月は笑顔でガッツポーズを見せます。
このことを知った滝乃(大竹しのぶ)は「撮影所に近づいたらあかんて何べんも言うたやろ。あんたとあの子(晋八)は住む世界が違うんや」。美月が「でも…」と言いかけると静止して、「あの子と会うのは禁止、夏休み中は一歩も家を出たらあかん」と言い渡します。
23回。うどん屋の子供である晋八が美月にうどんを持ってきますが、滝乃は「ここはあんたの来るとこやない」と、話も聞かずに追い返します。追いかけようとする美月を滝乃が止めるので、美月は「何であんなこと言うの。私の大事なお友達なのに」と怒ります。その夜、美月は佐々木家に戻って一家4人で寝ます。
翌朝、滝乃が美月に謝りに来ますが、美月は春夫の部屋に閉じこもって会おうとしません。美月は滝乃を嫌いなわけではないものの、何をしゃべっていいか分かりませんでした。翌日に「椿屋」の仕事で滝乃が動けない時間があるのを聞きつけた美月は、その間に撮影所に行こうと君江を誘います…。
◇
2024年コンサートスケジュール
■2月2日(金) 埼玉・大宮ソニックシティ
14:00
■2月22日(木) 長野・ホクト文化ホール 14:00
■3月6日(水)
神奈川・カルッツかわさきホール
14:00
■3月12日(火)
静岡・アクトシティ浜松大ホール
14:00
■3月26日(火) 兵庫・神戸国際会館 14:00
■3月27日(水) 大阪・フェスティバルホール
14:00
■4月5日(金)~7日(日) 京都・南座
「舟木一夫シアターコンサートin南座」
各日13:30
■4月12日(金) 群馬・高崎芸術劇場 14:00
■4月23日(火)~24日(水)
愛知・日本特殊陶業市民会館
14:00
■5月2日(木)~8日(水)
大阪・新歌舞伎座(神野美伽とのジョイント)
2日16:00/3日~8日13:30(5日休演)
■5月16日(木) 山口・KDDI維新ホール 14:00
■5月17日(金)
広島・ふくやま芸術文化ホール
14:00
■5月23日(木) 岩手県民会館
14 : 00
■5月24日(金)
青山・リンクステーションホール青森
14:30
■6月11日(火)大阪・ふれんどコンサート
大阪サンケイホールプリーゼ
14:00
■6月18日(火)
福島・けんしん郡山文化センター
14:30
■6月19日(水) 山形・やまぎん県民ホール
14:00
■6月25日(火) 東京・ティアラこうとう 14:00
■7月3日(水) 東京・ふれんどコンサート
東京・なかのZERO大ホール 15:00
■7月10日(水) 埼玉・ウエスタ川越 14:00
■7月16日(火) 浅草公会堂 17:00
■7月20日(土)
神奈川・相模女子大グリーンホール 14:00
■8月21日(水) J:COMホール八王子
14:00
■9月4日(水)~8日(日)御園座
各13:00
■9月12日(木) アクリエ姫路 14:00
■9月13日(金) ハレノワ岡山芸術劇場
14:00
■9月18日(水)
サンシティ越谷市民ホール 14:00
■10月1日(火) 宝山ホール(鹿児島)
14:00
■10月2日(水) 福岡市民会館
14:00
■10月22日(火)
大阪フェスティバルホール 14:00
■10月23日(水) 神戸国際会館 14:00
■12月5日(木)
大阪・バースデーパーティー
ホテルニューオータニ大阪
■12月17日(火)
東京・バースデーパーティー
ホテルニューオータニ東京
※各会場写真から会場公式サイトに飛びます
※確定分のみ掲載しています
◇