舟木一夫~2024年コンサート曲㉕

仲間たち」 

―後半に「オードリー」第13回の内容―

―橋幸夫が引退撤回&復帰の謝罪会見―

 

 

 本題に入る前に―。春雨の後に初めて見える虹を「初虹(はつにじ)」と言います。虹は夕立の後によく現れるので夏の季語ですが、「初虹」は晩春の季語になります。七十二候の清明のころ(4月15日ごろ)に「虹始見(にじはじめてあらわれる)」の一候があり、太陽の光が弱い頃の虹で、淡くはかない印象です。いよいよ春が終わりに近づき、夏に向かうサインでもあります。小林一茶の句に「初虹も わかば盛りや しなの山」があります。

                    

 

仲間たち (クラシックCD付)

 

 舟木一夫さんは2024年通常コンサートの25曲目に、1963年11月にリリースした「仲間たち」(作詞・西沢爽、作曲・遠藤実)を選曲しました。B面の「はるかなる山」も同じ作詞&作曲家による作品です。卒業後に故郷の学友たちを回顧する歌で、西沢さんの詞と軽いタッチの口笛による間奏が“学園ソング”らしさを盛り上げています。学園ソングというのは“学校で歌える歌謡曲”の代名詞なんですね。

 

 

 舟木さんはデビュー曲「高校三年生/水色のひと」と2枚目「修学旅行/淋しい町」の作詞を丘灯至夫さん、3枚目の「学園広場/只今授業中」を関沢新一さん、そして3枚目の「仲間たち/はるかなる山」を西沢爽さんが担当していますが、作曲はいずれも遠藤実さんです。やはり、舟木さんの“学園ソング”は遠藤さんによって確立されたと言っていいと思います。

 

仲間たち

 

 この歌も1964年3月14日に日活映画「仲間たち」(柳瀬観監督)として公開されました。共演は前年の「学園広場」(山崎徳次郎監督)に続いて松原智恵子さん、のちにハマヤンと呼ぶ親友になる浜田光夫さんとは初共演でした。柳瀬さんはこの後、「花咲く乙女たち」「北国の街」「東京は恋する」「高原のお嬢さん」の4本の“舟木映画”の監督を務めますが、ふたりの出会いの重要性については改めて述べたいと思います。

 

 

 舟木さんはこの映画について、のちに以下のように語っています。流行歌の世界ではなかなか感じられないことですが、この映画に参加したことで、モノ作りはスタッフに支えられてこそやっていられるんだということを最初に感じた作品でした。この頃は自分の動きのぎこちなさが分かって来ていて、迷惑をかけていることを早く直さないといけないということをボチボチ感じ始めていました。

 

 一方、監督の柳瀬さんは当時の映画雑誌で、舟木さんについて以下のように語っています。彼は感受性が強く、物事に対して敏感に反応する。天才の閃きといったものを感じました。彼に接していると、その誠実さに打たれます。物事をいい加減に出来ない性格で、自分が納得いくまで食い下がる。その根性が頼もしい。舟木クンを通じて私は大きな意味で青春のモラル、青春の理想像を描きたいと考えています。

 

学園広場

 

花咲く乙女たち

 

北国の街

 

東京は恋する

 

高原のお嬢さん

 

 ちなみに、柳瀬さんは1932年2月4日、東京都大田区大井町の生まれ。中央大学杉並高校を経て、早稲田大学第一文学部演劇専修を卒業後、日活撮影所に入社して契約助監督。鈴木清純監督らの助監督を務めた後、1963年7月7日公開の「探偵事務所23銭と女に弱い男」(主演・宍戸錠、笹森礼子)で監督に昇進しました。舟木さんの「仲間たち」を撮ったのは32歳の時でした。3作目の監督作品でした。

 

探偵事務所23 銭と女に弱い男

 

 舟木さんは31作の映画に出演していますが、主演作は15本です。監督は、日活では柳瀬さん5本のほか、西河克己さん6本(「絶唱」「夕笛」など)、斎藤武市さん2本(「君は恋人」など)。東映は鷹森立一さん3本(「君たちがいて僕がいた」「夢のハワイで盆踊り」など)、東京映画の松山善三さん2本(「その人は昔」「君に幸せを センチメンタル・ボーイ」)となっています。

 

 

★ ★ ★

 

13回も観てしまいました

 

 「椿屋」の女主人・滝乃(大竹しのぶ)は、使用人の君江(藤山直美)が美月(大橋梓)と仲良くして、二人で大京映画の撮影所に出入りすることに腹を立てます。そして、「あんたに裏切られるとは思わんかったわ」と、1か月間の外出禁止とテレビを見ることの禁止を言い渡します。

 

 お母ちゃまこと滝乃は美月にも、撮影所は夢の世界に見えるかもしれないが、俳優は浮草稼業で水に浮かんだ草のようにフラフラと流されていく人。お嬢様はそんな所へ行ってはいけないと出入り禁止を伝えます。美月はハイと答えますが、理解はしていません。

 

 実のママの愛子(賀来千香子)は美月に「撮影所に行く時は内緒にしないで教えて」と言います。美月はお母ちゃまとママの言うことが違うことに戸惑いながらも、君江の部屋に入って、「ひょっこりひょうたん島」や「鉄腕アトム」などのテレビ番組の内容を教えてあげます。

 

 私は君江の部屋に新しい看板スター・幹幸太郎(佐々木蔵之介)の映画ポスターが貼られていたことに注目しました。クリキン(舟木一夫)、モモケン(林与一)の映画ポスターも作っていましたから、それぞれ何枚くらい作られたんだろうかと“変な興味”を覚えました…。

 

★ ★ ★

 

橋幸夫が歌手復帰の謝罪会見

 

 

 昨年5月3日の80歳の誕生日をもって歌手を引退した橋幸夫さんが4月15日、都内で歌手復帰を表明する謝罪会見を行いました。引退表明から1年足らずでの復帰会見。26日にさいたま市の大宮ソニックシティで開くコンサートで復帰するそうです。

 

 橋さんは会見で「引退後、ファンから『勝手に引退して、私たちはどうすればいいの』など、多くのお叱りの言葉をいただき、引退したのは軽率だったと後悔するようになった。声が出る限り、歌い続けるつもり」などと話しました。

 

 橋さんは2021年12月から2023年5月にかけ全国でさよならコンサートを行い、引退撤回を望む声に「決めたことは絶対に守る」と語っていました。引退後は書画個展などを開く一方、自ら選んだ「二代目橋幸夫」によるライブ活動も行っていました。

 

 今後は社長にお任せしながらやっていくと言います。社長というのは「安ーいッ。社長、有難う」というCMでお馴染みの“あの社長”でしょうか。まぁ、人それぞれですから何とも申しませんが、私個人的にはやはりそうだったかと思うばかりです。

 

 

 

 

【Amazon.co.jp限定】舟木一夫コンサート 2023ファイナル 2023年11月16日 東京国際フォーラムA(CD)(メガジャケ付)

 

【Amazon.co.jp限定】舟木一夫コンサート 2023ファイナル 2023年11月16日 東京国際フォーラムA(DVD)(L判ビジュアルシート付)

 

決定版 舟木一夫の青春賛歌 全記録公式本

 

 

 

☆青春賛歌 目次【1】2022年6月~

☆青春賛歌 目次【2】2023年1月~

☆青春賛歌目次【3】2024年1月~