舟木一夫~2024年コンサート曲⑪
西郷輝彦「初恋によろしく」
本題に入る前に―。春の季語でもある「風光る」は、暖かくなって陽射しが強くなる季節に、吹く風も輝くように思える様子を表す言葉です。時折吹く暖かな春風が季節の移ろいを感じさせてくれます。時々「春薫る」とごっちゃにしまいがちですが、こちらは初夏の涼しい風がゆるやかに吹く様子を表しています。
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舟木一夫さんは2024年通常コンサートの11曲目に選んだのは、1966年11月1日にリリースされた西郷輝彦さんの「初恋によろしく」(作詞・星野哲郎、作曲・米山正夫)でした。今年のコンサートの「日本の名曲たち」の2曲目です。
星野哲郎さんと西郷さんのイメージが結びつきにくいのですが、西郷さんの曲では1965年1月1日にリリースした「青年おはら節/薩南哀歌」をはじめA面、B面を加えると計21曲を作詞しています。
1965.1.1 「青年おはら節/薩南哀歌」
(作曲・米山正夫)
1965.4.1 「俺らは九州っ子」
(作曲・島津伸男)
1965.5.1 「始めからもういちど」
(作曲・米山正夫)
1966.3.10 「花の百万拍子」
(作曲・米山正夫)
1966.4.10 「僕だけの君/想い出を君に返そう」
(作曲・北原じゅん)
1966.11.1 「初恋によろしく/いもうとよ」
(作曲・米山正夫)
1966.12.1 「ハイヤング節/青年さくら音頭」
(作曲・小杉仁三)
1967.8.1 「君らしく僕らしく/東京のどこかで」
(作曲・狛林正一)
1967.11.1 「糸満育ち」(作曲・前田利明)
1967.12.1 「君でいっぱい」
(作曲・米山正夫)
1968.4.10 「そのなかのひとり/ふるさとにっぽん 」(A面作曲・米山正夫、B面作曲・岩
河三郎)
1968.5.1 「或る晴れた日に」
(作曲・狛林正一)
1969.3.1 「涙は眠れない/ましゅろ椿の歌」
(作曲・叶弦大)
1978.6.25 「星のボサノバ」
(作曲・小杉仁三)
ヒット曲は「青年おはら節」と「初恋によろしく」くらいです。星野さんは日本クラウンの専属作詞家でしたから、必然的に西郷さんの曲もたくさん書くことになったのですが、「初恋によろしく」はさすが星野さんという作詞ですね。
タイトルに加え、♪ああ そよ風も ほらささやくよ 初恋によろしく…という部分が実に新鮮です。そして、作曲の米山さんと編曲の佐倉正巳さんが口笛とバンジョーによる軽やかなフォーク調にしたところがヒットに繋がったと思います。
この曲は、西郷さんが主演して1966年12月24日に公開された日活映画「傷だらけの天使」(監督・吉田憲二)の挿入歌として使われました。ちなみに主題歌の「傷だらけの天使」は西郷さんが我修院建吾のペンネームで作詞しています。
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