信濃川沿いを走るJR飯山線

 

舟木一夫~2024年コンサート⑦

北国の街

みんな旅人」の“4番”をご紹介!!

 

 

 本題に入る前に―。三日月は季節によって見え方が変わります。春の三日月は、春三日月と呼ばれ舟のように横に寝ているような形で、秋の三日月は縦に立っているような形になっています。三日月は盃にたとえられて、春は酒が満ちる月、秋は酒がこぼれると言われてきました。夕暮れの空の三日月に季節を感じてみましょう。

 

 

北国の街 [EPレコード 7inch]

 

 舟木一夫さんが2024年通常コンサートの7曲目に選んだのは1965年3月にリリースされた「北国の街」(作詞・丘灯至夫、作曲・山路進一)でした。作曲は前回の「東京は恋する」と同じ山路さんですし、B面の「はやぶさの歌」も丘&山路さんコンビの作品です。山路さんが作った歌はいずれも素晴らしい曲調に仕上がっています。

 

 

 とりわけ「北国の街」は山路さんの傑作の一つだと思います。舟木さんは「ドラムを入れずにウクレレだけでリズムを刻んでいる新鮮な曲」と言います。クラリネットが北村英治さんという贅沢な曲でもありました。曲が発売された同じ20日には同名の日活映画「北国の街」(柳瀬観監督)が公開されています。

 

 

 日数から見て、企画段階から歌と映画の話が並行して進められていたと思われますが、♪ふたりだけでかえる アカシアの道…ぼくたちだけの よろこびが住む 北国の街…♪肩よせあるく アカシアの道…ぼくたちだけの しあわせがある 北国の街……丘さんらしい歌詞と映画の内容は全く異なっています。

 

 

 この映画は舟木さんにとって実質的な初主演映画です。舟木さん自身も「映画の主役として舟木一夫がもつかどうかという勝負がかかっていた」と語っています。この映画の18日間のロケのために、テレビ、ステージなど数十本の仕事を断って出演したほどです。この意気込みには柳瀬さんも応えないわけにいきません。

 

北国の街

 

 柳瀬さんは駆け出しだった倉本聰さんの脚本を読んだ時、これでは舟木ファンが納得してくれないと考え、ロケ現場で自分で“台詞”を紙に書いて出演者に渡しました。倉本さんは曲調に合わせて台詞を書いたのではないでしょうか。それを柳瀬さんが書き直したため、映画の内容と歌が合わなくなったとも考えられます。

 

 

 この映画で国鉄飯山線の最終列車が飯山駅に入って来て、共演の和泉雅子さんが舟木さんを見送るシーンで台詞を忘れるというハプニングがありましたが、間合いを覚えていた和泉さんが咄嗟に舟木さんに「台詞を忘れたの。だけど、私の“はい、どうぞ”という合図に従ってしゃべって」ということで難を免れました。「舟木君」と「マコちゃん」は、これを契機に映画俳優同志としても絶妙な仲になりました。

 

日活データーベースより

 

 ところで、「北国の街」の作詞は丘さんの作品の中でも1、2の出来だと思います。と考えつつ、舟木さんの歌の中で丘作品は何曲あるのかシングル(A面、B面を含めて)について調べてみると、デビュー曲の「高校三年生」以来42曲ありました。最後の作品は1974年9月にリリースされた「旅路」(作曲・遠藤実)。舟木さんが2度目の“若気の至り”という事件を起こした後の復帰記念曲でした。

 

  「みんな旅人」について

 

 

 舟木さんは2024年コンサートツアーでみんな旅人」の“4番”を歌われています。今年のツアー用に書き下ろされたものです。会場でお聴きになった皆さんが感動されたようです。この連載の「みんな旅人」のところで、改めてご紹介しますが、舟木さんの許可をいただいたうえで、“速報”の形で以下に記させていただきます。

 

      時はめぐりめぐる 花はこぼれまたひらく

     そっとぬぐう涙 命はそこに宿る

     風の中旅の中 今あふれるこの歌は

     限りないときめき 光る青春

     明日へ続く道に いたみをすてて寄りそう

     みんなみんな旅人 心をつなぐ旅人

     みんなみんな旅人 君も…君も 俺も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆青春賛歌 目次【1】2022年6月~

☆青春賛歌 目次【2】2023年1月~

☆青春賛歌目次【3】2024年1月~