舟木一夫~2024年コンサート曲④

星の広場へ集まれ!

~B面「北国の旅情」は監督作詞の映画主題歌~

 

【EP】舟木一夫 「星の広場へ集まれ!/ 北国の旅情」

 

 本題に入る前に―。空気中の水蒸気や水のつぶが一気に冷やされて凍ることで、光の中を煌きながら氷の結晶として舞う自然現象は「ダイヤモンドダスト」と呼ばれます。北海道十勝地方や名寄市、富良野市などでマイナス10度C以下の晴れた朝に見られます。氷の結晶は太陽の光を反射して金色や虹色などに輝いて見えます。漢字では「細氷」と書きますが、歌謡曲としては歌われていませんね。

 

 

   舟木一夫さんが2024年の通常コンサート4曲目に選んだのは1967年3月にリリースされた「星の広場へ集まれ!」(作詞・古野哲哉、作曲・戸塚三博)でした。♪君の好きな人はだれ つれておいで 恋人を 若ものの広場では 星たちも 待つころ……。B面は「北国の旅情」(作詞・西河克己、作曲・松尾健司)で、同年1月3日に公開された日活映画「北国の旅情」(監督・西河克己、共演・十朱幸代ら)の主題歌です。

 

北国の旅情

 

 本来なら映画の主題歌がA面になるところですが、これには事情があります。実は、前年の10月に舟木さんにとって初めての1か月座長公演を大阪・新歌舞伎座で行いましたが、相手役に予定していた和泉雅子さんの出演がマネジャーの考えでドタキャンされた(詳細は「決定版 舟木一夫の青春賛歌」を参照)ことに対して、舟木さんが“脱日活宣言”をしているという噂が流れました。 

 

 

 日活は「絶唱」を撮ったばかりの西河克己監督ら3人を大阪の新歌舞伎座に向かわせ、千穐楽の幕が降りてから楽屋で面会。舟木さんは恐縮して次の作品に1週間で撮影することを条件に出演する約束をしますが、西河監督は倉本聰さんに映画の脚本を書いてもらうことになったものの、主題歌の作詞は作詞家に頼んでいる時間がなく自ら書き上げました。そんな事情もあってB面にしたんだと思います。

 

舟木さんと西河監督

 

 「星の広場へ集まれ!」は1967年4月4日から30日まで東京・明治座で行われた舟木さんにとっては東京で初の座長公演の夜の部のヒットパレードのメーン曲として歌われました。私は以前から「星の広場“に”集まれ」ではなく「星の広場”へ”集まれ」としたところに、嬉々とした娘たちを表現したい作詞家の意図を感じ、それが舟木さんの歌い方に見事に表現されました。

 

 ところで、古野哲哉&戸塚三博コンビの曲は前年2月にリリースされた「哀愁の夜」以来ですが、全くタイプの異なるこの2曲だけです。舟木さんの曲では、古野さんは「ブルー・トランペット」の作詞、戸塚さんは「友を送る歌」「涙の敗戦投手」「さらば古い制服よ」「さんざしの花咲けば」「残雪」などを作曲しています。いずれもいい曲で、古野&戸塚コンビが2曲だけで終わったのは不思議ですね。

 

哀愁の夜[EPレコード 7inch]

 

ブルー・トランペット[EPレコード 7inch]

 

友を送る歌 (クラシックCD付)

 

涙の敗戦投手 (クラシックCD付)

 

【EP】舟木一夫「夕笛/さんざしの花咲けば」

 

残雪 [EPレコード 7inch]

 

 ちなみに、戸塚さんは舟木さん以外では、二代目コロムビア・ローズさんの「智恵子抄」(作詞・丘灯至夫)、「智恵子の故郷」(同)や「二十四の瞳」(同)、松原智恵子さんの「泣いてもいいかしら」(作詞・植田俤子)、本間千代子さんの「幸せな涙」(作詞・荒川利夫)、酒井和歌子さんの「青春通り」(作詞・万里村ゆきこ)、酒井和歌子&江夏圭介さんのデュエット「大都会の恋人たち」(同)などがあります。一方の古野さんの作品では都はるみさんの「あんこ船/ほめて下さい」(いずれも作曲・市川昭介)くらいしか見つかりませんでした。

 

コロムビア・ローズ/智恵子抄

 

 

 

大都会の恋人たち [EPレコード 7inch]

 

 

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