舟木一夫~2024年コンサート③
「ブルー・トランペット」
~舟木が歌う船村徹のシングル作品一覧~
本題に入る前に―。“世界のオザワ”、“世界のセイジ”こと指揮者の小澤征爾さんが6日に亡くなりました。88歳でした。2008年に文化勲章を受章した後、2011年にフジサンケイグループが主宰しています“文化界のノーベル賞”と言われる第23回高松宮殿下記念世界文化賞(音楽部門)を受賞しています。私も世界文化賞には長く関わっていました。
作家の村上春樹さんとの共著「小澤征爾さんと、音楽について話をする」は楽しい読み物でした。文化人一家で、長女は作家&エッセイストの征良(せいら)さん(52)、長男は俳優の征悦(ゆきよし、49)さん、征悦さんの奥さんはNHKアナウンサーの桑子真帆さん(36)、おいはシンガー・ソングライターの小沢健二さん(55)です。ご冥福をお祈りします。
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舟木一夫さんが2024年の通常コンサートの3曲目に選んだ曲は「ブルー・トランペット」(1966年12月。作詞・古野哲哉、作曲・船村徹)です。古野さんは舟木さんの「哀愁の夜」や「星の広場へ集まれ!」、「踊ろうぼくと」(補作詞)、「ひとりぼっちの女の子」(同) なども作詞しています。船村さんにとっては、舟木さんのために初めて作曲した「夢のハワイで盆踊り」(1964年7月。作詞・関沢新一)以来、8曲目のシングルになりました。舟木さんが21歳の時の作品です。
元々、作詞には1、2、3番の最後に「ホッホー」が付いていて、舟木さんも当初は歌っていましたが、今は省いています。これは船村さんが良くやられる方法で、本来の作詞にはないものを、作曲している間に“追加”したものと思われます。舟木さんが作詞して村木弾さんが歌った「都会のカラス」(2017年4月)にも「カアカアカア」という言葉が入っていますが、これも「船村先生の発案で、船村さんがメロディーを付ける流れの中で出て来たんです」(舟木さん)と言っています。
曲のタイトルに“トランペット”が付くのは、アイ・ジョージさんの「哀愁のトランペット」、三田明さんの「僕のトランペット」、久保浩さんの「断崖のトランペット」、吉永小百合さんの「銀色のトランペット」などのほか、高橋英樹さんが日活映画「さすらいのトランペット」(1963年2月3日公開)の主題歌として歌った同名の曲もあります。この映画の共演者は松原智恵子さんです。もっとも、舟木さんの歌以外はヒットしていません。
いい機会ですから、舟木さんのために作った船村さんの楽曲(シングル)を以下に紹介しておきます。( )の中は発売月と作詞者です。
夢のハワイで盆踊り(1964.7、関沢新一)
東京百年(1965.12、丘灯至夫)
銀座すずらん通り(1966.2、丘灯至夫)
踊ろうぼくと(1966.6、大林郁恵)
ひとりぼっちの女の子(同、深沢真弓)
太陽にヤァ!(同、関沢新一)
真珠っ子(同、植田俤子)
ブルー・トランペット(1966.12、古野哲哉)
話してごらんこの僕に(同、丘灯至夫)
夏子の季節(1967.6、丘灯至夫)
あいつとわたし(同、丘灯至夫)
心こめて愛する人へ(1967.7、松山善三)
じっとしていると恋しい(同、松山善三)
夕笛(1967.8、西條八十)
夜霧の果てに(1968.5、大倉宏之)
夢の中の恋人(同、島田幸一)
オレは坊っちゃん(1968.6、西條八十)
喧嘩鳶(同、村上元三)
ああ!!桜田門(1969.7、西沢爽)
あなたの故郷(1971.9、石本美由起)
帰郷(1972.7、横井弘)
サンチャゴの鐘(1973.9、横井弘)
夏子(同、古野哲哉)
むかえ火(1975.4、吉田旺)
津和野川(同、吉田旺)
春哀し(1977.11、猪又良)
愛を探しに(同、猪又良)
「その人は昔」のテーマ(2018.7、松山善三)
※「星の夜北へ帰る」(1977.6、関沢新一)=アルバム「限りない青春の季節」に収録=などアルバムだけに収録されている曲は省きました
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