舟木一夫と本間千代子㊦

 

   本題に入る前に一言―。私が1974(昭和49)年4月に産経新聞社に入社して横浜総局に配属された翌年の1975年5月19日付の産経新聞朝刊に「連続企業爆破事件の犯人グループ、きょう一斉逮捕」という大スクープが報じられました。私は入社1年目で直接取材に関わったわけではありませんでしたが、舟友世代の皆さんにはお分かりのように当時最も注目された大事件でしたから、警察関係者や知人らから「産経さんは凄いね!!」と何日かにわたって声をかけられたものです。

 

事件現場となった三菱重工業東京本社ビル
(現・丸の内二丁目ビル)Wikipediaよりー

 

 三菱重工爆破事件など11件のテロを行った過激派「東アジア半日武装戦線」の「さそり」グループの中の一人、「桐島聡」容疑者(70)を名乗る男がこのほど、神奈川県内で身柄を確保されました。犯行グループの中で唯一、捜査の網を潜り抜け、49年間にわたって逃亡を続けていました。男は末期の胃がんのため入院していた神奈川県鎌倉市の病院で29日に死亡しました。非常に特徴的な顔なのにどう生き延びていたのか出来うる限り知りたいと思っていましたが叶わなくなりました。

 

                   ◇

 

 では本題に戻ります―。

 

本間千代子 ゴールデン☆ベスト

 

 本間千代子さんは1945年1月29日、疎開先の長野県伊那市に生まれ、終戦後に東京・西荻窪に移り、幼稚園の頃からNHK「うたのおばさん」の安西愛子さんから童謡を習いました。小学校時代に児童合唱団で、後に姉・明子さんの夫になる冨田勲さん(後にシンセサイザーアーティスト)から歌のレッスンを受け、その後、「ひばり児童合唱団」に通いながらコロムビア専属の童謡歌手になります。

 

日本の流行歌スターたち(38) 安西愛子

 

日本の音楽家を知るシリーズ 冨田勲

 

 

 東映で音楽を担当していた冨田勲さんの勧めで東映東京撮影所に出入りしているうち、1958年8月に東映児童研修所の第一期生になり、立教女学院高等学校を卒業後に東映に入社しました。1960年にテレビの「ナショナルキッド」に数回出演後、1961年に高倉健主演のアクション映画「恋と太陽とギャング」に千葉真一さんの妹役・留美子で映画に本格デビューします。舟木一夫さんの歌手デビュー前です。

 

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 しかし、その後は思うような映画への出演がなく、22作目にして初めて舟木さんとの映画「君たちがいて僕がいた」(監督・鷹森立一、1964年5月23日公開)で主演を勝ち取りました。主題歌は舟木さんの「君たちがいて僕がいた」、本間さんは挿入歌「愛しあうには早すぎて」を歌いました。舟木さんのレコードのジャケット写真には本間さん、本間さんのレコードには舟木さんの顔が入るという面白い企画でした。

 

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 東映はこれで青春映画路線を確立。その後、本間さんは舟木さんとの「夢のハワイで盆踊り」(監督・鷹森立一、1964年8月1日公開)、西郷輝彦さんとの「十七才のこの胸に」(監督・鷹森立一、1964年11月14日公開)、西郷さんとの「あの雲に歌おう」(監督・太田浩児、1965年1月15日公開)を撮っています。またこの間、1965年のNHK大河ドラマ「太閤記」に藤吉郎の妻「ねね」の妹「やや」役で出演しています。

 

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 このほか、1963年11月にリリースされた舟木さんの「聖夜」のB面は本間さんの「蛍の光」になっており、映画「夢のハワイで盆踊り」の主題歌として1964年7月にリリースされた「夢のハワイで盆踊り」は舟木さん、本間さん、二代目コロムビア・ローズさん、高橋元太郎さんが歌唱、B面の「わかもの行進曲」は本間さんと高橋元太郎さんのデュエットになっています。

 

 

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 また、本間さんは1965年6月に読売巨人軍の王貞治選手とのデュエット曲「白いボール」(B面は「ぼくらのホームラン王」)もリリースしています。王さんが1964年に本塁打55本の日本記録を達成したのを記念したものです。さらに王さんがホームランで世界新記録を達成すると、1977年9月にジャケット写真などを入れ替えて「白いボール」(B面は「闘魂こめて~読売巨人軍球団歌」)を再リリースしています。

 

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 本間さんはいろんな才能があって、作詞家「あたらしかずよ」としても活躍。1978年9月5日に五木ひろしさんがリリースした「熱愛」(作曲・丹羽応樹)を作詞し、同年の第11回日本作詞大賞に入賞しました。五木さんは「熱愛」が同年の第20回日本レコード大賞古賀政男記念賞を受賞したため授賞式で歌い、大晦日の第29回NHK紅白歌合戦でも「熱愛」を歌唱しています。

 

 

 本間さんは私生活では1966年8月、ホリプロで舟木さんの先輩歌手だった守屋浩さんと婚約を発表、翌年1月22日に結婚(のちに離婚)しました。婚約した頃、守屋さんは「早く帰ってチョコに会いたい」という思いから、1時間20分のコンサートを45分で終わらせたことがあるといいます。 真偽は分かりません。本間さんは1976年に「ひばり児童合唱団」時代からの幼馴染、ひのきしんじさんと再婚しています。

 

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 また、本間さんは高倉健さんとともに石原裕次郎さんの熱烈なファンでもあったことから、子育てが一段落した48歳の1993年に裕次郎さんの母校・慶応義塾大学の文学部に入学します。通信教育課程を経て1999年3月に卒業して学士を取得しました。そして2008年には、日本大学大学院総合社会情報研究科博士前期課程に入学、人間科学を専攻しています。才女です。

 

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