舟木一夫と共に㊸

「平凡」と「明星」㊦

 

 

 「月刊明星」は1952年8月、先行していた「月刊平凡」や「近代映画」に対抗する雑誌として集英社から創刊された。表紙は「ひめゆりの塔」(監督・今井正)や「七人の侍」(監督・黒澤明)などに出演した女優・津島恵子。1970年代に全盛期を迎え、1975年11月号(表紙は山口百恵と豊川誕)で過去最高の175万部を売り上げた。

 

―ひめゆりの塔 1954年Wikipediaより―

 

―七人の侍 ポスターをWikipediaより―

 

 

 舟木一夫がデビューした当時の若者は、歌手をはじめ芸能人の情報は「平凡」か「明星」で把握していた。舟木が表紙を飾ったのは以下の9冊。発売年と相手の女優・歌手を並べてみる。ちなみに各号とも別冊付録が付いて定価120円。

 

  ■1964年6月号⇒本間千代子

・スターの告白的体験記~わたしが痴漢にあったとき 岩下志麻、畠山みどりら5人

・映画で勝負する3人のライバル 橋幸夫「花の舞妓はん」/舟木一夫「君たちがいて僕がいた」/三田明「若い港

 6月号は4月以前に取材されていると思われる。舟木と本間が初共演したのは6月の「ロッテ歌のアルバム」(TBS系)で、10月からはTBSラジオで「夢の青春コンビショー」に2人で出演している。この番組は翌年3月まで続いた。本間は吉永小百合と並ぶ人気だった。

 

 

 ■1965年3月号⇒高田美和

 表紙のおしゃべり対談~高田「私ってずーっと前から舟木さんの歌の大ファンだったのよ。だから新しい曲が出るとすぐ覚えちゃう」/舟木「ボクは中学の時からお父さんの高田(浩吉)先生の歌を手本にしてよく歌ってたけど、美和ちゃんの歌を聴いてさすがだなって感心しちゃった」/高田「ありがとうございます。いつか舟木さんとデュエットさせてもらいたいわ」/舟木「いいね、賛成ッ!」

 

 

 ■1965年8月号⇒東山明美

 東山は17歳になった1964年10月に「私の恋人」でクラウンから歌手デビュー。その後もテレビのバラエティー番組やドラマなどで活躍し、明星の表紙に抜擢された。舟木とはこの時が初対面。「表紙のおしゃべり対談」を見てみる。東山「泳ぎは全然ダメですが、スケートと野球は得意」/舟木「ぼくも事務所(第一共栄)ではこれでも名投手」/東山「私、巨人ファンだから、王選手の一本足打法で打てば、舟木さんの球なんかボイーンよ」/舟木「ぼくも野球は巨人、歌は舟木。今度一緒にナイターの応援に行こう」/東山「絶対よ」

 

 

 

 ■1965年11月号⇒吉永小百合

 ゴールデン表紙対談~舟木「どこと、どこへ行ったの?」/吉永「フィンランドからフランス、イタリア、スペインと回ってきたんです。あたし西洋史専攻だから、すごく興味があったわ」/舟木「言葉は?」/吉永「あたしフランス語やってるくせに、全然通じないの。お母さんは25年前に習ったのに、あたしより通じちゃったのよ」/舟木「秋と言えば、小百合ちゃんは詩が得意なんでしょう?」/吉永「舟木さんの方が詩人タイプよ」/舟木「お父さんゴキゲンでしょう、巨人が調子いいから」/吉永「巨人が負けたら、口も利かなくなるわよ。それはそうと、舟木さんの『高原のお嬢さん』すてきね」/舟木「日活で映画化しますから、先輩、よろしく」/吉永「舟木さんの演技にくわれたら大変だって、みんな心配してたわよ(笑)」

 

 

 ■1966年2月号⇒吉永小百合

 

 

 

 ■1966年6月号⇒園まり

 

 

 ■1966年10月⇒恵とも子

 特集で「王座をねらう秘密作戦はこれだ!!」。橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦、三田明らが登場/今月のホープは森進一

 

 

 ■1967年3月号⇒恵とも子

 「大先輩!!でも歌では負けたくありません」というタイトルで美空ひばりと舟木一夫の対談が載っている。ひばり「そうそう歌唱賞のお祝いを言わなくちゃ、ほんとうにおめでとう」/舟木「ありがとうございます。ぼくなんかがもらうのは、おこがましかったのですが…」/美空「まだデビュー3年でし。えらいわあ」/舟木「高校生の頃『哀愁波止場』とか『リンゴ追分』をよく歌っていました。オーバーな言い方ですが、ぼくの先生でもあったんです、ひばりさんは」/美空「舟木さんはお仕事は?」/舟木「舞台は4月に明治座で1か月公演があります」/美空「あらっ、じゃ、また一緒ね。私も4月は御園座で1か月公演があるの」/舟木「ほんとですか?」/美空「ひばり、舟木が東西で大決戦!なんて、また週刊誌に書かれるわね(笑)」

 

 

 ■1968年1月号⇒園まり

 

   

 

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 1965年11月号と1966年2月号は「平凡」と「明星」の表紙に舟木が掲載され、1966年2月号の表紙は両誌とも舟木と吉永が同時に掲載されている。同じ号の表紙が同じ芸能人というのは極めて珍しいケースだと思われる。「明星」での舟木の相手は吉永、恵、園がいずれも2回で、「平凡」を合わせると吉永5回、恵3回、本間、高田、和泉、園が各2回となっている。50年以上前の「平凡」「明星」をパラパラと読んでみるのもまた楽しからずや! というところでしょうか。

                                 (敬称略)

 

 

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★★★

 

 「決定版  舟木一夫の青春賛歌」(産経新聞出版)が11月28日に出版されます。前著「舟木一夫の青春賛歌」を全面リライトしたうえ、このブログなどの内容を追加してまとめたものです。これまでのシングル全ジャケット写真、芸能生活のあゆみ(オリジナル)など60年のあらゆる記録も収めています。巻頭には舟木さんの最新インタビューも掲載しています。

 

 

★★★

 

 

 

 

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