舟木一夫が京都・南座で選んだ曲③

舟木一夫と「星の流れに」

～2023.5.26-28京都・南座での選曲～

　舟木一夫さんが2023年5月26日から28日まで、京都・南座で行ったシアターコンサート第一部「ブルースのか・け・ら」の4曲目に選んだのは菊池章子さんが1947(昭和22)年10月にテイチクからリリースした「星の流れに」(作詞・清水みのる、作曲・利根一郎)でした。美空ひばりさん、美輪明宏さん、江利チエミさん、青江三奈さん、ちあきなおみさん、藤圭子さんら60人以上の歌手がカバーしている名曲です。

　作詞の清水さんは、「かえり船」や「ふるさとの燈台」など田端義夫さんのヒット曲のほか、菅原都々子さんの「月がとっても青いから」、三波春夫さんの「雪の渡り鳥」などを作詞。作曲の利根さんは、小畑実さんの「星影の小径」や宮城まり子さんの「ガード下の靴みがき」、曽根史郎さんの「若いお巡りさん」、橋幸夫さんの「雨の中の二人」「霧氷」などを手掛けています。

～星の流れに～

　　　♪星の流れに　身を占って　　　　　　

　　　　何処をねぐらの　今日の宿　　　　　　

　　　　荒(すさ)む心で　いるのじゃないが　　

　　　　泣けて涙も　涸れ果てた　　　　　　　

　　　　こんな女に誰がした　

♪煙草ふかして　口笛ふいて

あてもない夜の　さすらいに

人は見返る　わが身は細る

町の灯影の　侘しさ

こんな女に誰がした　　　　　

　「星の流れに」は戦争で人生を狂わされ「パンパン」と呼ばれていた街娼の恨み節。清水さんは東京日日新聞(現在の毎日新聞)に掲載されていた女性の手記を読んで徹夜で歌詞を書き、利根さんは上野の地下道や公園を見て回って作曲したと言います。テイチクは最初、淡谷のり子さんに依頼しましたが、「自分が弱いからそうなったんじゃないの。他人のせいにしている歌は嫌い」と言って断られました。

　また、最初は「こんな女に誰がした」というタイトルを予定していましたが、「反米感情を煽る恐れがある」という理由でGHQの検閲にひっかかり、「星の流れに」に変更したという経緯があります。そんなことで、テイチクも当初はあまり乗り気ではなかったようで、宣伝活動も抑えめでした。しかし、自分の身に置き換えて聴いている人も少なくなく、徐々に火が付き始めます。

　1948年8月10日公開の東宝映画「肉体の門」(監督・マキノ正博)の挿入歌、1949年7月4日公開の大映映画「こんな女に誰がした」(監督・山本薩夫)の主題歌に使われると一気にヒットし始め、1953年の第4回NHK紅白歌合戦で菊池さんが歌うまでになりました。歌は暗いものの明るいメジャー調で、おしゃれなジャズアレンジにしたのもヒットに繋がったようです。

　菊池さんは1954年9月にリリースした「岸壁の母」も100万枚以上の大ヒット作品させています。この歌は1971年に二葉百合子さんのアルバムでカバーされ、翌年にシングルカットされて再びヒットします。なお、最初に「星の流れに」を歌うのを断っった淡谷さんは、後に菊池さんを妹のように可愛がっていました。ちなみに、菊池さんの妹は「北上夜曲」を大ヒットさせた多摩幸子さんです。

　「星の流れに」が発売された1947年10月は、舟木さんは2歳と10か月でした。私の仕事の関係では1月1日から新聞の見出しの横書きが左書きになりました。2月には東京・浅草に「浅草ロック座」がオープン。7月5日からNHKラジオドラマ「鐘の鳴る丘」が始まっています。笠置シヅ子さんの「東京ブギウギ」(作詞・鈴木勝、作曲・服部良一)もヒットしました。団塊の世代(～1949年)のスタートの年でもあります。

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【本日発売】
舟木一夫コンサート2023

10.16(月)フェスティバルホール
10.17(火)ロームシアター京都ル
10.19(木)神戸国際会館

各日共通
開演:14:00
料金:全席指定8,000円

グリークス:06-6966-6555

秋の関西公演もよろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/P7v6QmWWx6
— アイエス (@aiesu_19711208) July 7, 2023