舟木一夫が中野サンプラザで選んだ曲⑭

舟木一夫と「グッド・バイ・ソング」

～2023.4.25中野サンプラザでの選曲～

舟木一夫さんが2023年4月25日に東京・中野サンプラザで行ったラストコンサート第二部「ありがとうサンプラザ」のアンコール曲に選んだのは、1980年1月にリリースした「グット・バイ・ソング」(作詞&作曲・舟木一夫)でした。B面も舟木さん作詞&作曲の「明日は明日で」で、いずれも編曲は若草恵さんです。

　「グッド・バイ・ソング」は、同じ1月にリリースしたアルバム「29小節の挽歌」とともに、“シンガーソングライターとしての舟木一夫”を初めて公にお披露目した記念すべきシングルです。私は「グッド・バイ・ソング」という曲は作詞、作曲とも舟木さんの曲の中でもかなり完成度の高いものだと思っています。

　ちなみに、この年は山口百恵さんが三浦友和さんとの婚約を発表(3月)、松田聖子さんが「裸足の季節」でデビュー(4月)するという明るい話題と、ザ・ビートルズのジョン・レノンさんが米ニューヨークの自宅前で射殺(12月)されるという暗いニュースの入り混じった時代でした。

誰のために歌は流れ　誰のために消えゆく

　追えばにげる　待てばはぐれる

時はいつでも気まぐれ

どんなに強く心よせても

別離(わかれ)の唄は聞こえる

誰もとめることはできない

それが出逢うということ

Good-bye Love Good-bye Song

静かに灯りがおちる

Good-bye Love Good-bye Song

小さな旅路は終わる

幕が上がり歌が弾み　悲しいことは忘れた

言葉・笑顔・涙・想い出

幕がおりる　きっと私は

新たな日々へと旅立つ

Good-bye Love Good-bye Song

明日の出逢いのために

　Good-bye Love Good-bye Song

　静かに灯りがおちる

　Good-bye Love Good-bye Song

　小さな旅路は終わる

　Good-bye Love Good-bye Song

　明日の出逢いのために

「グッド・バイ・ソング」はすぐ、ピンク・レディーをプロデュースしていたビクターの飯田久彦さんの目ならぬ耳に留まり、2人のラストコンサートの曲目に入れて全国を回っていました。2人はコンサートのラスト曲として「OH!(オー)」(作詞・阿久悠、作曲・都倉俊一)を歌っていましたが、1981年3月31日に東京・後楽園球場で行われた解散コンサートでは「グッド・バイ・ソング」をラストに歌いました。

　私だけがこの曲を評価しているのではなく、発売後、馬飼野康二さんによってフォーク調に編曲されたものを歌手の西村協さんがシングルレコード化して歌い、俳優兼歌手の三ツ木清隆さんはさらに趣を変えてLP「秋冬-女情歌」(全11曲)の最後の曲として収録しています。いずれもCBSソニー発売。これらの出来事は舟木さんにとって“寒い時代”のど真ん中に起こったことです。