舟木一夫と「みんな旅人」
~2023.4.25中野サンプラザでの選曲~
舟木一夫さんは2023年4月25日に東京・中野サンプラザで行ったラストコンサート第二部「ありがとうサンプラザ」の17曲目に選んだのは、“寒い時代”にリリースした「WHITE」に収録し、2017年1月25日にシングルカットした「みんな旅人」(作詞&作曲・舟木一夫)でした。
「WHITE」の誕生を語る時、TBSテレビの鴨下信一さん(故人)を忘れることが出来ません。舟木さんと鴨下さんの出会いは、舟木さんが“おやじさん”と慕っていた劇団新派の俳優・伊志井寛さんの娘でテレビプロデューサーの石井ふく子さんが主催したパーティーで、石井さんから紹介されたのが初めてでした。
鴨下さんは1935年3月17日、東京生まれ。東大文学部を卒業後、TBSに入社し、ドラマ「岸辺のアルバム」「女たちの忠臣蔵」「ふぞろいの林檎たち」「高校教師」などの演出のほか、直木賞作家・向田邦子さんとは「寺内貫太郎一家」などで名コンビを組み、多くの舞台演出も手掛けられました。
舟木さんは初対面の会話で、鴨下さんのことをすっかり気に入り、「是非僕のステージも作っていただけませんか」ということになり、ある時、全て新曲でステージを作ってみようということで2人の考えが一致。そして、鴨下さんから「ステージの意図を正確に伝えるためには、ご自分で曲を作られたらどうですか」と提案されました。
その後、鴨下さんの構成に合った曲を舟木さんが作り始め、30曲ほど作詞&作曲してステージに乗せました。マスコミには「舟木がニューミュージックに転向した」などと書かれましたが、舟木さんはコロムビアに掛け合って「20周年のパーティーは不要です」と言ってアルバム制作費を捻出してもらいました。
それがやがて「WHITE」の誕生になりました。舟木さんは「ふれんどコンサート」などの場で「WHITE」の中の曲をファンに聴いてもらいます。その中から特に評判の良かった「愛だなんて言う前に/End・Love」(1982年6月)と「つばさ/青春ばなし」(1983年4月)をシングルカットしました。
舟木さんはインタビューに「30代の頃から徐々に、レコード会社が僕に作ってきた曲に対して、何だろうこれは!? という感じでした。今なぜ舟木一夫にこれなんだろうって。世界観としてその頃の僕の寸法に合わなかったので、せめて自分で納得して歌いたい歌があってもいいじゃないかと思ったんです。それが『WHITE』で、『みんな旅人』には僕のそんな思いが反映されていると思います」と答えています。
舟木さんは1983年4月に「つばさ/青春ばなし」をシングルカットしてから7年間、新曲をリリースしませんでした。「レコード会社とのずれ込みが激しくて、歌い手は吐き出せないんですよね」とも話しました。舟木さんの“復活”の兆しが確実に見えてくるのは1995年9月にリリースした「風、好きに吹け~迷夢本望」(作詞&作曲・小椋佳)からだと私は思っています。新聞にもそう書きました。舟木さん、51歳の時です。
その後も、舟木ファンは「みんな旅人」に熱い視線を送り、私もシングルカットしてくれるよう何度も本人にお願いしました。しかし、舟木さんは“温存”しました。大切な歌ですから、チャンスを探り続けました。そして、2017年1月25日、ついに「みんな旅人/下町どこさ」がリリースされました。
舟木さんは、「みんな旅人」の歌詞の中でも二番の歌い出しの部分、♪俺にあいつが勝って あいつが誰かに負けた どこか違う気がする わかるような気もする…のところが特にお好きなようです。そうおっしゃっていました。私には分かるような気がします……。
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《舟木一夫・2023年コンサートスケジュール》
■2月16日(木) 埼玉・大宮ソニックシティ
14:00
■2月24日(金) 東京・かつしかシンフォニ
ーヒルズ 14:00
■3月1日(水) 静岡・アクトシティ浜松 14:00
■3月18日(土)~23日(木)
大阪・新歌舞伎座 シアターコンサート
14:00~16:30
■3月27日(月)~29日(水)
東京・新橋演舞場 シアターコンサート
各 14:00
■4月12日(水) 千葉・松戸森のホール21 14:00
■4月14日(金) 群馬・高崎芸術劇場 14:00
■4月25日(火) 東京・中野サンプラザホール 15:00
■5月10日(水) 岡山市民会館 14:00
■5月11日(木) 広島・上野学園ホール 14:00
■5月26日(金)~28日(日)
京都・南座 シアターコンサート 各13:30
■6月5日(月) 大阪・ふれんどコンサート
大阪・メルパルクホール
14:00
■6月7日(水) 愛知・日本特殊陶業市民会 館 14:00
■6月12日(月) 東京・ふれんどコンサート
文京シビックホール・大ホール
15:00
■6月21日(水) 神戸国際会館 14:00
■6月22日(木) 大阪・梅田芸術劇場 14:00
■7月3日(月) 秋田・あきた芸術劇場ミル
ハス 14:00
■7月4日(火) 東京エレクトロンホール宮 城 14:00
■7月11日(火) J:COMホール八王子
14:00
■7月25日(火)~27日(木)
東京・浅草公会堂
25日は17:00、26日と27日は14:00
■8月7日(月) 埼玉・ウエスタ川越
14:00
■8月24日(木) 埼玉・川口総合文化センター
・リリア 14:00
■8月31日(木) 神奈川・相模女子大学グリー
ンホール 14:00
■9月7日(木) 神奈川・神奈川県民ホール
14:00
■9月13日(水) 千葉・市川市文化会館
14:00
■9月22日(金)~24日(日) 名古屋・御園座
各13:00
■10月2日(月) 大田区民ホール・アプリコ
14:30
■10月6日(火) 静岡市民会館 14:00
■10月10日(火) サンシティ越谷市民ホール
14:00
■10月16日(月) フェスティバルホール
14:00
■10月17日(火) ロームシアター京都 14:00
■10月19日(木) 神戸国際会館 14:00
■10月30日(月) 風アダルトに
文京シビックホール 15:00
※確定分のみ掲載しています