今日から61年目に入る舟木一夫

 

 

 

  1963年6月5日に「高校三年生/水色のひと」(作詞・丘灯至夫、作曲・遠藤実)でデビューした舟木一夫さん。カレンダーの上では、きょう2023年6月5日から歌手生活61年目に入ります。この間、ただ年数が淡々と経過しただけではありません。舟木さんは今、78歳の現役歌手として、あらゆるコンサート会場を「満員御礼」にしています。月並みな表現になりますが、これは「凄い!!」の一言です。

 

 

 舟木さんは1944(昭和19)年12月12日生まれ(O型&いて座)ですから、デビュー当時は18歳。愛知県一宮市から上京後編入学していた東京都目黒区の自由が丘学園高校を1963年3月末に卒業したばかりでした。舟木さんのファンの平均年齢が舟木さんの6歳前後下ですから、当時のファンの皆さんの平均は小学6年生か中学1年生だったと思います。1950年10月17日生まれの私は、平均年齢ど真ん中の12歳でした。

 

 

 詰襟の学生服姿という歌手の登場は新鮮そのもので、私の母親(現在93歳)はその清潔感から熱烈な舟木ファンになり、私はその影響を強く受けてファンになったという形でした。母の口癖は「爽やかないい青年が出てきた」でした。といっても、母も私もレコードを買い求めた記憶はありません。とりわけ、ほとんどが女性ファンという中で、男である私が舟木ファンだということを明らかにするには抵抗があった年代です。

 

 

 私が産経新聞社に入社したのはおよそ10年後の1974年4月。第一次オイルショックが発生した翌年で、いきなりボーナスは分割払いという大変な時期でした。実は、それ以上にショックだったのは、舟木さんが1973年秋に2度目の“若気の至り”を起こしたことです。船村徹さん作曲の「サンチャゴの鐘」をリリースした直後で、この曲を聴くと今でも当時のことを思い出してしまいます。

 

サンチャゴの鐘 (クラシックCD付)

 

 

 あまりのショックから私は当時、女性誌の投稿欄に「舟木一夫としての復帰は難しい。上田成幸としてブルースを歌う歌手になってほしい」という内容で送ったものが掲載されました。それは杞憂に終わりました。舟木さんは翌1974年春に挙式し、8月3日放送のNHK「思い出のメロディー」に出演して“復帰”しました。マスコミもそう報じましたが、すでに“寒い時代”への足音は聞こえ出していたのです。

 

 

 私は「ふれんどコンサート」などに時折、足を運びましたが、お客さんは徐々に減って行きました。新曲も出なくなりました。テレビで舟木さんの姿をみることも極端に少なくなりました。舟木さんはこのまま消えていく…。誰もがそう思ったに違いありませんが、舟木さんは船村徹さんや息子の純クンの“ひと言”で立ち直って行きます。落ちて行く中でも、しっかり聞く耳を持っていたのです。

 

 

 

 舟木さんの“寒い時代”って、レコード会社の思惑と舟木さんの考えが大きく外れてしまったこと、そして何よりも女性ファンの皆さんが子育ての時期に入ったことが大きかったように思います。しかし、舟木さんはこの間も「WHITE」に代表されるように自身でずっと歌いたい歌を作り続けていましたし、子育てが終わった女性ファンも“自らの復帰”のチャンスを窺っておられたんじゃないでしょうか。

 

 

 私が記者として初めて舟木さんに会って取材をしたのは、舟木さんが復帰に向け“逆ダイエット作戦”を始めた頃です。それまでは公私混同を恐れて取材を控えていましたが、今こそ紙面で応援しないといけないと思い、なんと栄養士が食事内容をチェックするという料理面の企画欄で紹介したのです。その後も次々に紹介することになり、“決定打”は写真にあるような見開き記事で、これには大きな反響がありました。

 

 

 舟木さんが憧れていた東京・新橋演舞場での1か月座長公演を始められてから、パンフレットで何回かインタビューする機会をいただきましたが、舟木さんが話されたまま起こせば綺麗な原稿の形になるのです。コンサートの合間に話されるトークとは大違いです(笑)。読売新聞で連載企画を始める際は、新聞記者顔負けの的確なタイトルを決められたのには驚きました。簡単に言えば、舟木さんはセンスがいいんですね。

 

 

 私は芸能生活50周年をお祝いする意味も込めて、10年前に「舟木一夫の青春賛歌」(産経新聞出版)を上梓しました。編集長から「このタイトルでは売れない」と別の提案がなされましたが、私は「舟木=青春なので『青春』の二文字は外せません」と押し通しました。舟木ファン以外の一般の方にはタイトル的に買いにくい本だったかも知れません。あれから、あっという間に10年が経ってしまいました。

 

舟木一夫の青春賛歌

 

 この本の続編を60周年に出して欲しいというファンの皆さんからの声にお応え出来なかったお詫びの気持ちも込めて、昨年6月5日からこのアメブロ「akiraの青春賛歌」を始めました。きょうで丸一年です。多い時でアクセス数が1万件を超えます。辛い時もありましたが止めるわけに行きません。78歳の舟木さんが、あんなに頑張っておられます。舟木ファンの皆さんとともに、出来るところまで続けようと思っています。

舟木一夫 芸能生活60周年記念コンサート(CD)

 

 

舟木一夫 芸能生活60周年記念コンサート(CD)