舟木一夫と「初恋によろしく」
~2023.4.25中野サンプラザでの選曲~
舟木一夫さんが2023年4月25日に東京・中野サンプラザで行ったラストコンサート第一部「輝さんのおもかげ」の8曲目に選んだのは、西郷輝彦さんが1966年11月1日にリリースした「初恋によろしく」(作詞・星野哲郎、作曲・米山正夫)でした。
西郷さんは1966年には1月10日の「西銀座五番街」(作詞&作曲・米山正夫)をはじめ計11枚のシングルレコードをリリースしています。毎月ほぼ1枚を出している計算です。ちなみに、舟木さんも1966年には10枚のシングルをリリースしています。
星野哲郎さんと西郷さんの出会いのきっかけはよく分かりませんが、次回にお伝えします「青年おはら節」を筆頭に10曲以上の作品があります。シングルのA面だけをリリース順に以下に並べてみました。
1965.1.1 「青年おはら節」(作曲・米山正夫)
1965.4.1 「俺らは九州っ子」(作曲・島津伸男)
1965.5.1 「始めからもういちど」(作曲・米山正夫)
1966.3.10 「花の百万拍子」(作曲・米山正夫)
1966.11.1 「初恋によろしく」(作曲・米山正夫)
1966.12.1 「ハイヤング節」(作曲・小杉仁三)
1967.8.1 「君らしく僕らしく」(作曲・狛林正一)
1967.11.1 「糸満育ち」(作曲・前田利明)
1968.4.10 「そのなかのひとり」(作曲・米山正夫)
1969.3.1 「涙は眠れない」(作曲・叶弦大)
これを見て分かるのは、ヒットしたのは「青年おはら節」と「初恋によろしく」の2曲だけです。西郷さんが求めていた曲と、星野さんの作詞による曲がどうしても結びつきません。「青年おはら節」にしてもそれほどヒットした曲ではありませんので、なぜ星野さんにこれほど書いてもらったのか???が付きます。
そんな中で「初恋によろしく」はタイトルもさることながら、♪ああ そよ風も ほらささやくよ 初恋によろしく…という部分が実に新鮮です。そして、舟木さんもコンサートで口笛を吹いていましたが、口笛とバンジョーによる軽やかなフォーク調にしたところがヒットに繋がったと思われます。佐倉正巳さんの編曲も効いています。バンジョーは舟木さんの「友を送る歌」でも使われていましたね。
西郷さんは1965年4月29日公開の「涙をありがとう」(監督・森永健次郎、共演=高橋英樹、和泉雅子)をはじめ計7本の日活映画に出演していますが、「初恋によろしく」は西郷さんと松原智恵子さんが共演した「傷だらけの天使」(監督・吉田憲二、1966年12月24日公開)の挿入歌になっていました。当時のヒット曲はほとんど、映画の主題歌か挿入歌として使われていました。
ちなみに、舟木さんの日活映画は1963年12月11日公開の「学園広場」(監督・山崎徳次郎、共演・松原智恵子)をはじめ、1969年1月11日公開の「青春の鐘」(監督・鍛冶昇、共演・松原智恵子)まで計16本の日活映画に出演しています。そのうち松原さんとの共演は5本でした。
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