舟木一夫と「涙の敗戦投手」
~2023.3新歌舞伎座コンサートでの選曲~
舟木一夫さんが2023年3月に大阪・新歌舞伎座で行ったコンサート第二部の9曲目に選んだのは1964年3月にリリースした「涙の敗戦投手」(作詞・丘灯至夫、作曲・戸塚三博、編曲・福田正)でした。B面も同じ作詞家、作曲家、編曲家による「さらば古い制服よ」です。
みんなの期待を背に受けて力の限り球を投げ通し、ユニフォームは汗にまみれてしまったが、敗れて敗戦投手になった。しかし、彼の目から落ちる涙は嘘ではない…。互いの健闘をたたえ合い友情を確認し合う丘さんならではの詞です。舟木さんのファンの中には、「涙の敗戦投手」を強烈に好きな方がかなりの数いらっしゃいます。
作曲の戸塚さんは、舟木さんの曲では他に「哀愁の夜」(作詞・古野哲哉)、「友を送る歌」(作詞・植田俤子)、「星の広場へ集まれ」(作詞・古野哲哉)、「さんざしの花咲けば」(作詞・丘灯至夫/「夕笛」のB面)、「残雪」(作詞・高峰雄作=舟木一夫のペンネーム)も作っています。舟木さんの雰囲気に合う作曲家です。
ちなみに、戸塚さんは二代目コロムビア・ローズさんの「智恵子抄」(作詞・丘灯至夫)や「二十四の瞳」(同)、松原智恵子さんの「泣いてもいいかしら」(作詞・植田俤子)、本間千代子さんの「幸せな涙」(作詞・荒川利夫)、酒井和歌子さんと江夏圭介さんの「大都会の恋人たち」(作詞・万里村ゆきこ)なども手掛けています。
編曲の福田正さんについても触れておきます。編曲家=アレンジャーはそれぞれの曲の曲調を決定づけるほどの重要な仕事で、福田さんは舟木さんの初期の曲(「高校三年生」「修学旅行」「学園広場」「仲間たち」「あゝ青春の胸の血は」)の編曲を手掛けています。“青春歌謡・学園ソング”の曲調を形作った第一人者とも言えそうです。
B面の「さらば古い制服よ」のタイトル通り、舟木さんの学生服姿のレコードジャケット写真もこの「涙の敗戦投手」が最後になりました。舟木さんはデビュー直前、テレビに出演して詰襟で歌ったところ問い合わせが殺到したため、当面は東京・目黒の自由ヶ丘学園高校で実際に着ていた学生服で歌わざるを得なくなりました。
舟木さんは真夏にも自前の学生服で通しましたが、ステージ衣装としての学生服の1着を、遠藤実さんからプレゼントしてもらっています。遠藤さんは、還暦の時に赤ツメコンサートを行った際の赤い詰襟学生服の1着も舟木さんに贈っています。こういうところにも、遠藤さんの高校生活への憧れが強く感じられますね。
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《舟木一夫・2023年コンサートスケジュール》
■2月16日(木) 埼玉・大宮ソニックシティ
14:00
■2月24日(金) 東京・かつしかシンフォニ
ーヒルズ 14:00
■3月1日(水) 静岡・アクトシティ浜松 14:00
■3月18日(土)~23日(木)
大阪・新歌舞伎座 シアターコンサート
14:00~16:30
■3月27日(月)~29日(水)
東京・新橋演舞場 シアターコンサート
各 14:00
■4月12日(水) 千葉・松戸森のホール21 14:00
■4月14日(金) 群馬・高崎芸術劇場 14:00
■4月25日(火) 東京・中野サンプラザホール 15:00
■5月10日(水) 岡山市民会館 14:00
■5月11日(木) 広島・上野学園ホール 14:00
■5月26日(金)~28日(日)
京都・南座 シアターコンサート 各13:30
■6月5日(月) 大阪・ふれんどコンサート
大阪・メルパルクホール
14:00
■6月7日(水) 愛知・日本特殊陶業市民会館 14:00
■6月12日(月) 東京・ふれんどコンサート
文京シビックホール・大ホール
15:00
■6月21日(水) 神戸国際会館 14:00
■6月22日(木) 大阪・梅田芸術劇場 14:00
■7月3日(月) 秋田・あきた芸術劇場ミル
ハス 14:00
■7月4日(火) 東京エレクトロンホール宮 城 14:00
■7月11日(火) J:COMホール八王子
14:00
■7月25日(火)~27日(木)
東京・浅草公会堂
25日は17:00、26日と27日は14:00
■8月7日(月) 埼玉・ウエスタ川越
14:00
■8月24日(木) 埼玉・川口総合文化センター
・リリア 14:00
■8月31日(木) 神奈川・相模女子大学グリー
ンホール 14:00
■9月7日(木) 神奈川・神奈川県民ホール
14:00
■9月13日(水) 千葉・市川市文化会館
14:00
■9月22日(金)~24日(日) 名古屋・御園座
各13:00
※確定分のみ掲載しています