舟木一夫と「てなもんや三度笠」
~2023.3新歌舞伎座コンサートでの選曲~
舟木一夫さんが2023年3月に大阪・新歌舞伎座で行ったコンサートで第一部の7曲目に選んだのは、1962年8月にリリースされた藤田まことさんの「てなもんや三度笠」(作詞・香川登志緒、作曲・林伊佐緒)でした。舟木さんがデビュー前年のヒット曲ですね。
作詞の香川さんはテレビコメディ番組「てなもんや三度笠」(大阪朝日放送)の脚本家で、演出の澤田隆治さんとともにこの番組の生みの親&育ての親です。香川さんはテレビ草創期からの喜劇番組の脚本家であり、大阪の若手漫才師の育成にも尽力されました。また、作曲の林さんは歌手&作曲家で日本初のシンガーソングライターと言われています。個人的には「ダンスパーティーの夜」(1950年10月)なんか好きでしたね。
「てなもんや三度笠」のテレビ番組は1962年5月6日から1968年3月31日まで全309話放送され、平均視聴率は関東で26.6%、関西で37.5%、最高視聴率は64.8%(1962年2月20日放送)でした。毎週日曜日の午後6時から30分間の放送でしたから、この視聴率は驚きです。珍念役の白木みのるさんとのコンビが絶妙でした。
番組の冒頭、お寺の鐘の鐘が鳴りお堂の扉を開けて登場した藤田さん演じるあんかけの時次郎が商品を掴んだ右手を突き出し、「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」と見栄を切って始まりました。番組は前田製菓の1社提供でした。この宣伝効果は計り知れませんね。
舟木さんは1966年8月放送の第227話「松島さわぎ」に長州藩の伊藤俊輔(後の伊藤博文)の役でゲスト出演しています。番組には人気歌手が多数出演していましたが、1963年6月にデビューしている舟木さんの出演は意外に遅かったし、これ1回というのもちょっと驚きですね。
藤田さんにはある時、ラジオ・文化放送の喫茶ルームでインタビューさせていただいたことがありますが、藤田さんの次の予定が遅れたため、藤田さんから「悪いんですが、もう少しインタビュー延ばして時間調整してくれまへんか?」と頼まれ、長~い長~いインタビューになったのを覚えています。
舟木さんはご自分でも、2003年8月1日から26日まで新歌舞伎座で、若井みどりさんの珍念を相手役に1か月座長公演を行っています。私も観に行きましたが、なかなか傑作でした。舟木さんはこういうコメディタッチのお芝居でも“独特の味”を出され、観客を楽しませてくれますね。
ちなみに、舟木さんと藤田さんは雑誌の1966年お正月号で“うま年対談”をしています。当時は舟木さんも藤田さんと同じように、顔が長い馬面と言われていました。対談の模様はさすらいさんの武蔵野舟木組のブログで読むことが出来ます。
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《舟木一夫・2023年コンサートスケジュール》
■2月16日(木) 埼玉・大宮ソニックシティ
14:00
■2月24日(金) 東京・かつしかシンフォニ
ーヒルズ 14:00
■3月1日(水) 静岡・アクトシティ浜松 14:00
■3月18日(土)~23日(木)
大阪・新歌舞伎座 シアターコンサート
14:00~16:30
■3月27日(月)~29日(水)
東京・新橋演舞場 シアターコンサート
各 14:00
■4月12日(水) 千葉・松戸森のホール21 14:00
■4月14日(金) 群馬・高崎芸術劇場 14:00
■4月25日(火) 東京・中野サンプラザホール 15:00
■5月10日(水) 岡山市民会館 14:00
■5月11日(木) 広島・上野学園ホール 14:00
■5月26日(金)~28日(日)
京都・南座 シアターコンサート 各13:30
■6月5日(月) 大阪・ふれんどコンサート
大阪・メルパルクホール
14:00
■6月7日(水) 愛知・日本特殊陶業市民会館 14:00
■6月12日(月) 東京・ふれんどコンサート
文京シビックホール・大ホール
15:00
■6月21日(水) 神戸国際会館 14:00
■6月22日(木) 大阪・梅田芸術劇場 14:00
■7月3日(月) 秋田・あきた芸術劇場ミル
ハス 14:00
■7月4日(火) 東京エレクトロンホール宮 城 14:00
■7月11日(火) J:COMホール八王子
14:00
■7月25日(火)~27日(木)
東京・浅草公会堂
25日は17:00、26日と27日は14:00
■8月7日(月) 埼玉・ウエスタ川越
14:00
■8月24日(木) 埼玉・川口総合文化センター
・リリア 14:00
■8月31日(木) 神奈川・相模女子大学グリー
ンホール 14:00
■9月7日(木) 神奈川・神奈川県民ホール
14:00
■9月13日(水) 千葉・市川市文化会館
14:00
※確定分のみ掲載しています
☆青春賛歌 目次【2】2023年~