舟木一夫と「道頓堀人情」

~2023.3新歌舞伎座コンサートでの選曲~

 

道頓堀(とんぼり)人情/人生しみじみ…

 

 舟木一夫さんが2023年3月に大阪・新歌舞伎座で行ったコンサート第一部の6曲目に選んだのは、1985年12月16日にリリースされた天童よしみさんの「道頓堀人情」(作詞・若山かほる、作曲・山田年秋)でした。“道頓堀”は“とんぼり”と読ませます。

 

 天童さんは舟木さんとは10歳違い。吉田よしみとして1970年9月10日に「大ちゃん数え唄」でコロムビアからデビューした後、同じ年の11月10日に天童よしみとしてキャニオンレコードから「風が吹く」で再デビューしています。

 

 

大ちゃん数え唄

 

 もう随分前になりますが、天童さんからコロムビアの大先輩でもある舟木さんに強い憧れを持っていたという話を聞いたことがあります。「道頓堀人情」を舟木さんが歌っていたことを知ったら大変喜ばれると思います。

 

 この歌はもとは鏡五郎さんのアルバム(1984年)に収録されていたもので、1985年から1986年にかけてレコード会社7社の競作として、天童さんや姿憲子さんらが歌いました。天童さんにとってはテイチクレコード移籍後第一弾のシングルでした。

 

特選 歌カラベスト3::おしどり人生/道頓堀人情/大前田英五郎 [ 鏡五郎 ]

 

 デビュー15年目の天童さんにとって歌手人生を変えた歌で、のちに「こういう“ぶっかけ演歌”が歌いたかった」と振り返っています。発売後1か月で北海道から福岡まで300件の営業をこなし、2年で80万枚を売り上げました。

 

 1993年に「酒きずな」でNHK紅白歌合戦に初出場しますが、2000年の第51回(紅組のトリ)、2008年の第59回、2017年の第68回で「道頓堀人情」を歌い、2019年10月29日放送の第19回わが心の大阪メロディーでは大トリで歌いました。

 

 

酒きずな/酔いごころ/あんたの花道[CD] / 天童よしみ

 

 天童さんはデビュー後、一旦は引退を決意するほど長い低迷時代を経験しました。それだけに、「詞の内容が自分の境遇と重なって、まるで自分自身への応援歌のようにも感じました」とも語っています。

 

天童よしみ2023年全曲集 [ 天童よしみ ]

 

 2017年5月20日、大阪ミナミの戎橋のたもとの道頓堀川沿いにある遊歩道に設置された「道頓堀人情」の歌碑の除幕式が行われました。式典には吉村洋文大阪市長(当時)も参加し「大阪の良さが詰まった曲で、大阪を元気にしてくれる」と話しました。

 

ー 「道頓堀人情」歌碑除幕式 ―

 

 

 

 

 

 

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