舟木一夫と「浪花の歌ごよみ」

~2023.3新歌舞伎座コンサートでの選曲~

 

 

 舟木一夫さんが2023年3月18日から23日まで、大阪・新歌舞伎座で行ったコンサートで選曲した歌のうち通常コンサートで歌っていない曲を取り上げます。最初は第一部のオープニングに選んだ「浪花の歌ごよみ」です。舟木さんは大阪でのコンサートを中心にこの歌をよく歌われています。

 

   結論から先に言いますと、「浪花の歌ごよみ」がいつ誕生した歌か、どのアルバムに収められている歌なのかなど“出所”に関する詳細は分かりませんでした。というわけで、この歌に関しては、これから書く内容には誤りがあるかもしれません。お気づきの方は指摘していただければ幸いです。

 

 この歌の作詞、作曲者は里中さとるさんです。以前にも書きましたが、舟木さんのペンネームです。「里中さとる」のペンネームでが舟木さんが作詞、または作曲した曲は、私が把握している限り下の表の通りです。もちろん、いずれも歌っているのは舟木さんです。

 

<里中さとる> 

 

浪花の歌ごよみ   

1975年に新歌舞伎座特別公演で披露 作詞&作曲・里中さとる

 

あなたは今 1976年2月 

 

友よ 

1977年8月 アルバム「一葉舟」に収録    作曲・浜圭介

 

想い出通り     

1977年8月 アルバム「一葉舟」に収録 作曲・岩鬼まさみ

 

眠らない青春    

1976年8月アルバム「レマンのほとり」に収録 

                                                           作曲・岩鬼まさみ

 

別れの部屋     

1976年4月                                          作曲・岩鬼まさみ                 

 

噂めぐり     

1976年4月 「別れの部屋」のB面       作曲・里中さとる

 

  舟木さんが「浪花の歌ごよみ」を最初に歌ったのは1975年4月27日に新歌舞伎座で行った「舟木一夫リサイタル」のステージではないかと思われます。もっとも、同じ4月に新歌舞伎座で行った1週間の特別公演の中で歌ったという“説”もありますが、“正解”にたどりつくことは出来ていません。

 

 私の手元の資料では、舟木さんの1975年は日劇の新春公演で幕を開け、2月には200人の後援会員とハワイ・バカンスツアーに出かけています。以前はファンとのツアーはよくありました。東京・ホテルニューオータニで4月に行ったディナーショー「舟木一夫映画音楽を歌う」では、映画評論家・水野晴郎さんの解説付きでした。

 

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 舟木さんが2000年代になってから「浪花の歌ごよみ」を歌っているステージを舟友さん(らぶさん)のご協力も得てまとめたところ、2006年1月と2008年8月の特別公演の千穐楽、2013年12月の特別公演夜の部のアンコール、2022年3月の芸能生活60周年記念コンサートではオープニングで、いずれも新歌舞伎座で歌っていることが分かりました。

 

 これだけ見ても、舟木さんがこの歌がお気に入りで大切にしていること、大阪のお客さんには“なじみの歌”であることが分かります。大阪のステージを中心に歌われているということも分かりますね。下に「浪花の歌ごよみ」の歌詞を掲載しますが、漢字・ひらがなの使い方で間違っていればご指摘ください。

 

  春の浪花を ほどよく染めて

  蝶も見返る 花摘みまつり

  稚児の引くてに ふたひら みひら

  名残り桜か 花車 花車

 

  弾むうわさに役者の華が

  咲いてうれしい道頓堀よ

  浴衣小粋に 素足も軽く

  贔屓どころも 賑やかに 賑やかに

 

  秋を彩る 銀杏の並木

  わたるそよ風 通天閣へ

  月を肴の 夜長の酒に

  艶も仄かな 衿ぼくろ 衿ぼくろ

 

  泣くも笑うも 八百八橋

  ちらりかすめて 泡雪小雪

  浪花心の 情をのせて

  水の流れも うきうきと うきうきと

 

※らぶさんのご指摘を受け、直したものを掲載してあります。

 

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