舟木一夫と「東京は恋する」
~2023年コンサートツアーの選曲~
舟木一夫さんが2023年通常コンサートの22曲目に選んだのは1965年4月にリリースされた「東京は恋する」(作詞・丘灯至夫、作編曲・山路進一)でした。1965年は1月に「火消し若衆」、3月には「北国の街」「成人のブルース」「竹千代音頭」をリリースしていました。平均すると、毎月1曲から2曲出している計算です。とにかく、この頃は舟木さんに限らず次から次へ発売するという凄まじい状況でした。
2023年の通常コンサートもそうですが、舟木さんはコンサートでは「東京は恋する」と「北国の街」の2曲を必ずと言っていいほど“セット”にして歌います。2曲の繋ぎのアレンジも杉村俊博さんだと思います(間違っていたら、ご指摘ください)が、グリーンのライティングの妙とともに中盤のコンサートを盛り上げるために欠かせないシーンです。
当時は歌がヒットするとすぐ映画化されるのが当たり前の状態でした。いわゆる青春歌謡映画ですが、この歌に関してはあれっ!?という思いです。日活映画「東京は恋する」(柳瀬観監督)が公開されたのは9月18日でした。レコードの発売からなんと半年近く経っているんです。当時としては極めて異例のケースです。この間に一体何があったのでしょうか。
実は、映画の撮影そのものは歌がリリースされて2か月後の6月から始まったのですが、その後、日活の労組がストに入ったのと、舟木さん本人が巡業先の盛岡から仙台に向かう列車の中で過労のために倒れ、東京・板橋の病院に入院したため、製作に3か月かかることになりました。この頃の週刊誌を読むと、舟木さんが過労で倒れるという記事が結構出てきます。今では許されない過酷な“勤務状態”でしたから…。
それにしても「東京は恋する」というタイトルは何とも洒落ています。当時の東京は魅力溢れる都市で“恋する街”だったんですね。歌詞の中に♪見上げる夜の オリオン星座…と、星座が出てくるのも2人の恋を盛り上げています。歌詞をよく読むと、大都会・東京は福島出身の作詞家、丘灯至夫さんにとって“憧れの街”でもあったことが良く分かりますね。
この映画では、タフガイ・石原裕次郎さん、マイトガイ・小林旭さん、クールガイ・赤木圭一郎さんとともに「ダイヤモンドライン」の一角を担ったやんちゃガイ・和田浩治さんが出演しています。浩治さんはジャズピアニストの和田肇さんの次男で、東洋音楽学校声楽科に在学している時に日活にスカウトされています。父子と音楽家ですから、浩治さんも歌手に興味を持っていたんではないでしょうか。
舟木さんは、和田さんとはやはり日活映画「青春の鐘」(鍛冶昇監督)で再び共演してからぐっと親しい関係になります。“音楽”という共通のキーワードが2人を急接近させたのではないかと思います。もっとも、その辺の詳しい裏話はあまり聞いたことがありません。「武蔵野舟木組」のさすらいさんならご存じだと思いますので、機会があったら伺ってみようと思っています。
もう一人の共演者の伊藤るり子さんは、日活がこの映画で売り出しを図りました。テレビでも「山のかなたに」「雨の中に消えて」「あいつと私」など舟木さんと縁のあるドラマに出演していますが、これだという印象に残るチャームポイントは特にありませんでした。強くアピールしてこないんですね。舟木さんが唯一触れているのは、女優陣について冗句を交えて次のように発言しています。
「チーちゃん(松原智恵子)は女っぽくて、お客さんが焼きもちを焼かれたのに対し、マコちゃん(和泉雅子)やるり子(伊藤るり子)は少女の延長という感じで、あんまり女っぽくない人と共演したほうがお客さんに喜んでいただけた」
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《舟木一夫・2023年コンサートスケジュール》
■2月16日(木) 埼玉・大宮ソニックシティ
14:00
■2月24日(金) 東京・かつしかシンフォニ
ーヒルズ 14:00
■3月1日(水) 静岡・アクトシティ浜松 14:00
■3月18日(土)~23日(木)
大阪・新歌舞伎座 シアターコンサート
14:00~16:30
■3月27日(月)~29日(水)
東京・新橋演舞場 シアターコンサート
各 14:00
■4月12日(水) 千葉・松戸森のホール21 14:00
■4月14日(金) 群馬・高崎芸術劇場 14:00
■4月25日(火) 東京・中野サンプラザホール 15:00
■5月10日(水) 岡山市民会館 14:00
■5月11日(木) 広島・上野学園ホール 14:00
■5月26日(金)~28日(日)
京都・南座 シアターコンサート 各13:30
■6月5日(月) 大阪・ふれんどコンサート
大阪・メルパルクホール
14:00
■6月7日(水) 愛知・日本特殊陶業市民会館 14:00
■6月12日(月) 東京・ふれんどコンサート
文京シビックホール・大ホール
15:00
■6月21日(水) 神戸国際会館 14:00
■6月22日(木) 大阪・梅田芸術劇場 14:00
■7月3日(月) 秋田・あきた芸術劇場ミル
ハス 14:00
■7月4日(火) 東京エレクトロンホール宮 城 14:00
■7月11日(火) J:COMホール八王子
14:00
■7月25日(火)~27日(木)
東京・浅草公会堂
25日は17:00、26日と27日は14:00
■8月7日(月) 埼玉・ウエスタ川越
14:00
■8月24日(木) 埼玉・川口総合文化センター
・リリア 14:00
■8月31日(木) 神奈川・相模女子大学グリー
ンホール 14:00
※確定分のみ掲載しています