車山高原から眺める雪の車山湿原 ー

 

舟木一夫と「残雪」

~2023年コンサートツアーの選曲~

 

 

残雪

 

 舟木一夫さんが2023年通常コンサートの21曲目に選んだのは1968年3月にリリースした「残雪」(作詞・高峰雄作、作曲・戸塚三博)でした。「絶唱」「夕笛」に続く“3部作”の一つですが、大ヒットまでには至らなかったようです。舟木さん自身も認めていることですが、当時のレコードを聴いても舟木さんらしくない歌い方になっています。大晦日のNHK紅白歌合戦で、1966年が「絶唱」、1967年が「夕笛」でしたが、この年は「残雪」ではなく「喧嘩鳶」でした。

 

舟木一夫「オレは坊っちゃん cw 喧嘩鳶〜野狐三次〜」 CD-R

 

 実は1967年4月、デビュー以来二人三脚で闘ってきたコロムビアのディレクター・栗山章さんが退社することになったことを、公演中の東京・明治座の楽屋でコロムビアの担当部長から突然伝えられました。舟木さんは思わず「なぜだ!」と叫びました。と同時に「舟木一夫はあと半年で売れなくなる」と直感したと言います。退社の本当の原因は明らかになっていません。栗山さんはその後、作家に転身し、ニューヨークに渡ることになります。

 

 

 舟木さんの悪い予感が当たりました。予定されていた新曲「残雪」の作詞家をめぐって後任のディレクターと舟木さんの意見が合わず、ついに「僕がやるから」と言って舟木さん自身が作詞することになりました。作詞家デビューのペンネームは「高峰雄作」。雄作は映画「夕笛」の舟木さんの役名で、お気に入りの名前でした。ちなみに、この曲を聴いた島倉千代子さんから「私にも書いてよ」と頼まれ、「慕情はかなく」(作曲・市川昭介)をプレゼントしています。

 

残雪

 

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 映画「残雪」の監督・西河克己さんは一問一答式の著書「西河克己映画修業」(ワイズ出版)の中で、「『絶唱』の時と同じように、舟木君がこれでお願いしますと新曲『残雪』のテスト版を持ってきました」と語っています。西河さんは「絶唱」では女が死に、「夕笛」では男が死んだから、今度は2人とも死んでしまう心中にしようと考え、心中への理由は血のつながった兄妹だから結婚できないという設定にしました。西河流と言うんでしょうか、何とも凄い発想です。

西河克己映画修業

 相手役は「夕笛」に続いて松原智恵子さん。舟木さんによると、雪の中の撮影は大変だったようで、松原さんを撮影現場までおぶって行きました。そこで松原さんはスカートだから下に物を敷いても見えないので良かったのですが、舟木さんの方は何も敷けないし、雪に他の人の足跡を付けたらいけないのでスタッフは離れた所にいる。舟木さんは何も敷かず2時間近く同じ場所から動けないでいました。今、そんな無茶をやったら後で大騒ぎになります。

 

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 舟木さんは、撮影が終わり西河監督から「はいOK」がかかっても立てません。舟木さんはスタッフに抱えられてようやく宿に着いたもののなかなか動けませんでした。凍傷ギリギリだったんです。スタッフから後で聞いたら、撮影の30分後に撮影場所で雪崩が起きたということで、こちらも危ないところでした。「残雪」はホントに命がけの撮影だったんです。「当時は乱暴なことをしてたんだね」と舟木さんは振り返っています。

 

― 日活データーベースより ー

 

 映画はそこそこのヒットになりましたが、舟木さんの感想は、努力の割には“重たい映画”になり、「舟木一夫のこれまでのいい流れが終わる予感がした」と振り返っています。西河さんとも、これが最後の作品になりました。後が続かなかった理由について、西河さんは「覚えていない。舟木君が他所(よそ)で撮っていたかどうかも…」と著書の中で語っています。舟木さんはこの後、松原智恵子さんらと共演した「青春の鐘」(鍛冶昇監督、1969年1月11日公開)が日活最後の作品になりました。

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 西河さんは自身の目に映った舟木ファンについても触れています。舟木さんのファンの中には若い女性ばかりでなく、意外に年齢の高いお金を持っている人、例えば料亭の女将やスナックのママさんなんかもいる。ファンクラブの会員の中にも10代、20代だけでなく30代、40代の女性もいるから御三家の中でも一番しっかりしていた。「ファンクラブ(後援会)が舟木君も参加する運動会を開くと、2000人くらいは集まっていましたからね」と語っています。

 

 

《舟木一夫・2023年コンサートスケジュール》 

■2月16日(木)   埼玉・大宮ソニックシティ

                                     14:00             

      

 

■2月24日(金)  東京・かつしかシンフォニ

        ーヒルズ       14:00

            

 

■3月1日(水)     静岡・アクトシティ浜松                   14:00 

 

■3月18日(土)~23日(木)   

   大阪・新歌舞伎座 シアターコンサート   

            14:00~16:30

 

 

 

 ■3月27日(月)~29日(水)

       東京・新橋演舞場 シアターコンサート

        各 14:00 

 

 

■4月12日(水)    千葉・松戸森のホール21                 14:00 

 ■4月14日(金)    群馬・高崎芸術劇場                           14:00 

 

 ■4月25日(火)  東京・中野サンプラザホール                          15:00 

 

 

 ■5月10日(水)    岡山市民会館                         14:00 

 ■5月11日(木)    広島・上野学園ホール             14:00 

   

  ■5月26日(金)~28日(日) 

             京都・南座 シアターコンサート              各13:30 

 

 

  ■6月5日(月)  大阪・ふれんどコンサート

         大阪・メルパルクホール

                                                     14:00

 

■6月7日(水)    愛知・日本特殊陶業市民会館              14:00

 

 ■6月12日(月)    東京・ふれんどコンサート

                   文京シビックホール・大ホール 

                15:00

 

 ■6月21日(水)    神戸国際会館                                                                      14:00

 

■6月22日(木)    大阪・梅田芸術劇場                             14:00

 

 ■7月3日(月)  秋田・あきた芸術劇場ミル 

         ハス                      14:00 

                  

 ■7月4日(火)  東京エレクトロンホール宮                                城        14:00

 

 ■7月11日(火) J:COMホール八王子

                                                     14:00

 

 ■7月25日(火)~27日(木)

          東京・浅草公会堂

             25日は17:00、26日と27日は14:00

 

 ■8月7日(月)  埼玉・ウエスタ川越

                                                     14:00

 

 ■8月24日(木) 埼玉・川口総合文化センター

        ・リリア      14:00

 

 ■8月31日(木) 神奈川・相模女子大学グリー          

        ンホール      14:00

 

 

 ※確定分のみ掲載しています

 

 

 

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