舟木一夫と「あいつと私」
~2023年コンサートツアーの選曲~
舟木一夫さんの2023年通常コンサートの3曲目は「あいつと私」(作詞・丘灯至夫、作曲・船村徹)です。「夏子の季節」(作詞・丘灯至夫、作曲・船村徹)のB面として、1967年5月にリリースされました。♪ルルルル…の始まりでお馴染みの曲で、舟木さんはコンサートで頻繁に歌われます。♪ルルル ランラン…など女性コーラスとの絡みが心地良く、お気に入りの1曲だと思います。
原作が石坂洋次郎さんの人気小説だけあって、1961年9月10日に公開された日活映画「あいつと私」(中原康監督)の主題歌として同月、石原裕次郎さんの歌でリリース(作詞・滝田順、作曲・上原賢六)されています。また、1976年4月24日公開の東宝映画「あいつと私」(河崎義祐監督)では三浦友和さんが主演しています。この間に2回、テレビドラマ化もされています。
最初のドラマは1963年12月1日から翌年1月5日までフジテレビ系で放送されました。2回目は1967年2月13日から7月3日まで、松原智恵子さん、川口恒さん主演で日本テレビ系で放送され、舟木さんの「あいつと私」が主題歌に採用されました。舟木さんは世界各地の秘境を探検して帰国した髭面の野性的な青年「粕谷純平」役で、15話「アフリカから来た男」と16話「マッサラーマ! 夏の日」に出演もしました。
ところで、A面の「夏子の季節」、B面の「あいつと私」ともに船村徹さんが作曲しています。遠藤実さんが1965年3月にミノルフォンレコードを立ち上げるためにコロムビアレコードを離れた後、船村さんが舟木さんの曲を作る機会が増えました。このレコードもそんな中の2曲です。かつて舟木さんは「門下生の中で船村先生の曲を出しているのは、僕が一番多いと思いますよ」と話してくれたのを思い出します。
とりわけ「夏子の季節」は、1966年6月にリリースした「太陽にヤア!」(作詞・関沢新一、作編曲・船村徹)と並ぶ舟木さんには珍しい夏のリズム歌謡になっています。「夏子の季節」では“夏子”が18回も出てきますし、「太陽にヤア!」ではエレキギターの響きとともに“ウウウウ オオオオ エエエエ ア”が8回繰り返されます。こういう歌を舟木さんに歌わせるのも船村さんの真骨頂でしょう。
「夏子の季節/あいつと私」がリリースされた1967年は、舟木さんにとって忘れられない年なんです。1月に宮城県仙台市で行われた公演後、劇場の食堂で後援会員と茶話会を開いたところ、その中に後援会員に連れられて来た中学3年生の女生徒がいました。舟木さんは横にいたバンドリーダーのチャーリー脇野さんに唐突に「はす向かいに座っている子と結婚するかもしれない」と話しました。
― 杜の都仙台 ―
チャーリーさんは「ああ、いい子だね」とだけ答えました。翌年7月、彼女は上京した際、東京の後援会員とともに明治座の楽屋に舟木さんを訪ねます。舟木さんはすぐに分かりました。それから3年後、盛岡で公演があった際に彼女に連絡して自宅を訪ね、両親に「お付き合いをさせて下さい」と申し入れます。この彼女こそ、今の奥さまの紀子さんです。
そういう意味では、「夏子の季節」が「紀子の季節」に変わった年なんですね。そして、「あいつと私」は「紀子と私」、あるいは「紀子と成幸」に置き換えてもいいかもしれませんね(笑)。
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舟友さんから2月25日に東京・かつしかシンフォニーヒルズで行われたコンサートの写真を送っていただきましたので、下に掲載します。満員御礼が続き、嬉しいことです。舟木さんはこの日も絶好調ということでした。
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《舟木一夫2023年コンサート・スケジュール》
■2月16日(木) 大宮ソニックシティー
14:00
■2月24日(金) かつしかシンフォニーヒルズ 14:00
■3月1日(水) アクトシティ浜松 14:00
■3月18日(土)~23日(木)
大阪・新歌舞伎座 シアターコンサート
14:00~16:30
■3月27日(月)~29日(水)
東京・新橋演舞場 シアターコンサート
各 14:00
■4月12日(水) 松戸森のホール21 14:00
■4月14日(金) 高崎芸術劇場 14:00
■4月25日(火) 中野サンプラザホール 15:00
■5月10日(水) 岡山市民会館 14:00
■5月11日(木) 広島・上野学園ホール 14:00
■5月26日(金)~28日(日)
京都・南座 シアターコンサート 各13:30
■6月7日(水) 日本特殊陶業市民会館 14:00
■6月21日(水) 神戸国際会館 14:00
■6月22日(木) 梅田芸術劇場 14:00