舟木一夫と「友を送る歌」
~2023年コンサートツアーの選曲~
舟木一夫さんが「2023年コンサートツアー」で選んだ曲を紹介していきます。初回はオープニングの「友を送る歌」。舟友さんのお一人から「西郷輝彦さんに捧げる歌に聞こえてきました」というコメントをいただきました。「友を送る歌」は男同士の友情と別れ、旅立ちを歌った曲です。2月20日が一周忌ですから、舟木さんは西郷さんを意識して選曲されたのかもしれません。
この歌は1966年4月にリリースされています。作詞は植田俤子さん、作編曲は戸塚三博さん。植田さんは舟木さんの「真珠っ子」(作曲・船村徹)や「雪国へ」(作曲・山路進一)、「新吾十番勝負」(作曲・安藤実親)、「帰る」(作曲・山路進一)などのほか、松原智恵子さんの「ひとりで歩くのが好き」(作曲・戸塚三博)、堀江美都子さんの「菜の花と女の子」(作曲・藤家虹二)の作詞も手掛けています。
舟木さんはデビュー3年目の1966年には「山のかなたに/ふるさとの乙女」をはじめシングル10枚、「舟木一夫 花のステージ(第4集)」をはじめアルバム4枚をリリースされています。今では考えられない量です。すでに橋幸夫さん、西郷さんとともに「御三家」と呼ばれ人気絶頂で、10月には葉山葉子さんを相手役に、大阪・新歌舞伎座で初めての1か月座長公演も行っています。
「友を送る歌」はフォーク調で男性コーラスとバンジョーの響きが効いています。詞のテーマは、先ほども書きましたように男同士の友情と別れ・旅立ち。B面の「おもいをこめて手をふろう」(作詞・西沢爽、作曲・遠藤実)のテーマも友との別れ。遠藤実さんがミノルフォンレコードを立ち上げるためにコロムビアレコードを去る際に、舟木さんに贈った曲だとも言われています。
レコード発売の2か月後の1966年6月25日に日活で「友を送る歌」として映画化されました。歌のヒットを受けて映画化するという“青春歌謡映画”の典型です。監督は「哀愁の夜」に続いて2作目の西河克己さん、共演は山内賢さん、和泉雅子さん、二谷英明さんら。舟木さんはこの年には「哀愁の夜」(3月27日)のほか、「太陽に突っ走れ」(9月8日)、「絶唱」(9月17日)にも出演しています。
映画「友を送る歌」のロケは神奈川県横浜市と茨城県つくば市などで行われ、横浜では山下公園、マリンタワー、外人墓地の前の道、中華街、横浜駅などが選ばれました。とりわけ横浜は日活映画のロケでしばしば使われ、“日活の聖地”とも呼ばれていました。一方、つくば市では筑波山ロープウェイなどが登場しています。私は住まいが横浜ですので、撮影現場を歩いてみた記憶があります。
― 山下公園とマリンタワー ―
舟木さんはこの映画について、チャンネルNECOの番組「舟木一夫が語るマイベスト総集編・主演映画を語る」の中で、「やっと二谷さんをはじめとする先輩やスタッフの有難味が分かってきたのと、ケンちゃん(山内賢)、マコちゃん(和泉雅子)とは遊び仲間、食事仲間という距離感だったので、軽い気持ちで撮ることが出来た映画です」と話しています。
ー 横浜外人墓地 ―
また、「この映画で、舟木一夫は日活的、無国籍的というのが全然似合わない奴というのが良く分かりました」としながら、「ただ、ラストシーンの抜け方は好きでしたね。舟木一夫が内蔵している男の子のいたずらっぽさ、やんちゃさがチラっと顔を出しているんです」と語っています。これを機会に、もう一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
― 横浜・中華街 ―
いずれにしましても、それぞれのコンサート会場で、ご紹介する“曲の裏話”も頭に置きながら、舟木さんの熱唱を聴いていただければ楽しみも増えるのではないかと思っています。
― 横浜・みなとみらい ―
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《舟木一夫2023年コンサート・スケジュール》
■2月16日(木) 大宮ソニックシティー
14:00
■2月24日(金) 葛飾シンフォニーヒルズ 14:00
■3月1日(水) アクトシティ浜松 14:00
■3月18日(土)~23日(木)
大阪・新歌舞伎座 シアターコンサート
14:00~16:30
■3月27日(月)~29日(水)
東京・新橋演舞場 シアターコンサート
各 14:00
■4月12日(水) 松戸森のホール21 14:00
■4月14日(金) 高崎芸術劇場 14:00
■4月25日(火) 中野サンプラザホール 15:00
■5月10日(水) 岡山市民会館 14:00
■5月11日(木) 広島・上野学園ホール 14:00
■5月26日(金)~28日(日)
京都・南座 シアターコンサート 各13:30
■6月7日(水) 日本特殊陶業市民会館 14:00
■6月21日(水) 神戸国際会館 14:00
■6月22日(木) 梅田芸術劇場 14:00