舟木一夫&大原麗子㊤

 

愛のつづれ織り

歌手としてシングル3枚、アルバム2枚(1枚は台詞だけ)をリリー

ス。は1978年3月25日に出したアルバム「愛のつづれ織り」

 

 舟木一夫さんと大原麗子さんは映画、ステージ、テレビドラマなどで共演しています。2人ともまだ結婚前に恋の噂も立ちました。舟木さんも波乱万丈の人生を送ってきましたが、大原さんも違った意味で二転三転の人生でした。今回は舟木さんと大原さんの共演作などを再確認するとともに、大原さんの結婚→離婚などにも触れながら、その数奇な人生を振り返ってみたいと思います。

 

 

 

 舟木さんと大原さんが初めて“共演”したのは1966年9月8日に公開された東映映画「太陽に突っ走れ」でした。舟木さんのデビュー曲「高校三年生」の作曲家・遠藤実さんの自叙伝「太陽も笑っている」(1961年4月15日出版、太平出版)を映画化したもので、遠藤さんにあたる主演の青年・進藤孝を千葉真一さん、その妹・進藤さかえを大原さんが演じました。

 

 大原さんは中尾ミエさん主演の東宝映画「夢で逢いましょう」(1962年9月15日公開)に端役で出演後、1964年4月から1年間放送されたNHKの連続ドラマ「幸福試験」でデビューし、翌年、東映に入社。「太陽に突っ走れ」は東映に入ってすぐの映画でした。この映画には舟木さんも、こまどり姉妹、島倉千代子、北原謙二、梶光夫さんら遠藤門下生とともに出演しています。広い意味で“共演”とさせていただきました。

 

― 幸福試験 NHK放送史より ―

 

 映画の主題歌「太陽も笑っている」(作詞・中山正男、作曲・遠藤実)、挿入歌「妻に捧げる歌」(作詞&作曲・遠藤実)を千葉真一さんが歌い、シングルレコード化もされています。千葉さんは歌手としても30枚以上のレコードを出していますが、これは異色のレコードに属するのではないでしょうか。「妻に捧げる歌」の詞を読んでいると、遠藤さんの妻への熱い想いが伝わってきます。

 

楽譜 遠藤実のすべて ベスト200(楽曲解説付/メロディー譜集)

 

 千葉さんは2021年8月19日に82歳で亡くなりました。この原稿を書いている時、千葉さんの息子さんで、いずれも俳優の新田真剣佑さん(26)と弟の真栄田郷敦さん(23)がそれぞれ結婚したことを、そろって発表されました。千葉さんの誕生日の22日に発表しようと2人で決めたと言います。おめでたい話ですので、急きょ入れさせていただきました。

 

 さて、大原さんが舟木さんと本格的に共演を始めるのが、1968年10月3日から12月26日まで、NTV(日本テレビ)系で毎週木曜日20:00~20:56まで計13回放送されたサスペンス・コメディー「泥棒育ちドロボーイ」です。舟木さんの役は骨董品屋のひとり息子・押川純一で、ムード結婚式場の社長。父親の怪盗ムササビこと押川五助(柳永二郎)の死に際に自分の先祖が大泥棒日本駄右衛門と知らされ、五助が生前に騙して売りつけた13の偽物の商品を本物と摺り替えるように言われ、他の歴史上の大泥棒の子孫たちと摺り替えを決行する―という物語です。

 

ワンダフル・ボーイ-NTV ドラマ「ドロボーイ」より-

 

 大原さんはゲストとして、第5回(10月31日「地獄でマリア」)、第10回(12月5日「出る杭は盗られる」)、第11回(12月12日「泥棒腕をエバラず」)、第12回(12月19日「カタる世襲にゼニは無し」)、第13回(最終回、12月26日「ムササビの子はムササビ」)の計5回出演しています。第10回からは最終回まで4回連続で出演しています。舟木さんはこのドラマを通じて大原さんのことをすっかり気に入られたのではないでしょうか。

 

 連続ドラマを受け、1969年2月にアルバム「ワンダフル・ボーイ」(上の写真)がリリースされました。「ドロボーイ」のテーマをはじめ、「バラと紳士」「ロマンの夜」「青春ドロボーイ」「恋だけが」「たそがれはいたずら」「夜の電話」「マロニエの街」など全13曲の新曲が収められています。純平のキャラクターに合わせたラテン、カリプソ、ジャズ風などハイカラでムーディーな洒落たアルバムで、「恋だけが」は秀逸です。「青春ドロボーイ」はステージでもよく歌われますね。

 

 舟木さんは、アルバム発売後の1969年4月13日から16日まで、京都・南座で行われた「舟木一夫特別公演 京の恋唄」に大原さんをゲストとして迎えています。手元のパンフレットによると、司会は青空東児さん。“前座歌手”はコロムビアの梢まこさん、コーラスはコンサートシンガーズです。舟木さんは「京の恋唄」「永訣の詩」

「絶唱」「夕笛」「残雪」などを歌うことになっています

 

 

 舟友さんによりますと、第一部は「京の恋唄」で始まり、「祇園小唄」で幕。第二部は途中から「ドロボーイ」のテーマが流れ、大原さんが登場、チャーリー脇野さん作曲の「たそがれはいたずら」に続いて、大原さんと「夜の電話」をデュエットされたようです。ちなみに、舟友さんの義姉さんは小学生か中学生の時、大原さんと同じそろばん塾に通われていたということです。

 

舟木一夫「永訣の詩 cw 京の恋唄」 CD-R

 

絶唱 [EPレコード 7inch]

 

夕笛 [EPレコード 7inch]

 

残雪 [EPレコード 7inch]

 

 この後、2人は1970年1月7日20:00~20:56まで、フジテレビ系列で放送された大川橋蔵主演の「銭形平次」の第192回「春の風来坊」にそろってゲスト出演しています。舟木さんは収賄の罪に問われた清廉な勘定奉行・秋月主馬の身の潔白を証明するため、口入屋ににわか番頭の半次郎となって入り込む。その口入屋は秋月を信じ続ける娘・お峰(大原さん)が取り仕切っていた…。

 

銭形平次

― 映画版 銭形平次 ―

 

 半次郎が屋台で盃を叩いて主題歌を歌うサービスシーンがあったような記憶がありますが、どうだったでしょうか。いずれにしても、この頃には舟木さんと大原さんの演技は実に“いい感じ”になっていたと言っていいんじゃないでしょうか。あまりそういう目で見るのは良くないかもしれませんが…。

 

 そして、2人のイキがぴったり(あくまでも私の感想)だったのが「恋愛術入門」。1970年10月18日から1971年3月28日まで、毎週日曜日の21:00から30分間、当時の若手人気俳優・女優がオムニバス形式で恋愛の様々なパターンを演じていた人気番組で、2人が登場したのが1971年1月10日に放送された第12回「イチ・タス・イチは?」(監督・斎藤武市、脚本・布勢博一)でした。

 

恋愛術入門 DVD-BOX デジタルリマスター版 【DVD】

 

 舟木さんは女嫌いの理論物理学の助手。大原さんはモデル仲間と“彼とキスできるかどうか”に1万円を賭ける。ある日、2階の彼の部屋で影絵のようにしてキスしたように見せたものの、目の前で見せないとダメだとモデル仲間に言われて再び…。結局、恋に落ちていく2人を演じましたが、イキが合っていないと醸し出せない雰囲気を漂わせていました。

 

大原麗子 白黒 プロマイド 3

 

 出演は他に花沢徳衛さん、浜かおる(浜川智子)さん=日活女優でデビュー作は舟木さんの相手役で応募した「仲間たち」=ほか。ナレーターは三国一朗さん。♪見つめ合うだけで恋が生まれる…と、千賀かほるさんが歌う主題歌「くちづけ」(作詞・中村小太郎、作曲・河村利夫)も効いていましたね。大原さんは第20回「男の賭けは高くつく」(1971年3月7日)にも出演しています。

 

ゴールデン☆ベスト 千賀かほる 真夜中のギター [ 千賀かほる ]

 

 次回は“恋する女”とも言われた大原さんに、舟木さんとの恋愛話も含めながら迫ってみたいと思います。

 

 

    

 1月23日に大阪で行われました「バースデーディナーショー」では以下の歌が歌われました。12月12日には同じホテルで“本物のディナーショー”が行われることが決まったようです。

 

 季節かさねて/さよならの朝に/どこかへあなたと/北風のビギン/はやぶさの

 歌/サンチャゴの鐘/風のワルツ/夜霧の果てに/銀色の恋/追憶のブルース/

 湖愁/想い出通り