ブルーストーンの曲を出したい

 

     ~舟木一夫・ロングコンサート千穐楽~

 

千穐楽の21日も開場前に長蛇の列が出来た=東京・新橋演舞場

 

 東京・新橋演舞場で行われていた「芸能生活60周年記念 舟木一夫 ロングコンサートin新橋演舞場」が12月21日、バージョン「D」のサンクスコンサートで千穐楽を迎え、10日間の全日程を終えました。舟木さんは“確かな手応え”を掴まれたようで、来年以降は毎年、ブルーストーンの曲を2枚ずつシングルカットして出していきたいと具体的な抱負を語りました。

 

― オープニング ―

①     みんな旅人        WHITE

 

②     都会(まち)の子守歌  WHITE Ⅱ

③     青春(わかさ)ばなし  WHITE Ⅱ 

④      潮どき           WHITE Ⅱ

⑤      ~糸車~          WHITE

 

⑥     れ・く・い・え・夢  WHITE

⑦     くやしまぎれ           WHITE

⑧     斜-me-節              WHITE Ⅲ

 

⑨     ガラスの架橋(はし)    WHITEⅡ

 

⑩     End・Fin・Fine         WHITE Ⅲ

       (ラストシーン)

       (太陽がいっぱいテーマ曲、ピアノ演奏)

 

― スタンディング ―

⑪     ROCKN‘ROⅬⅬふるさと  WHITE

 

⑫     組曲 日本の四季~春夏秋冬

 

⑬   ありがとうもさようならも

⑭     高校三年生

⑮     修学旅行

⑯     学園広場

⑰     仲間たち

⑱     あゝ青春の胸の血は

 

ー エンディング ー

⑲     君たちがいて僕がいた(台詞入り) 

 

― アンコール ―

⑳     君だけを(西郷輝彦のデビュー曲)

㉑     湖愁

       

 最終日の舟木さんは黒のジャケット(上襟グレー)、銀のネックレス。襟や前身ごろ、背中にCOOL Queenの文字や、サングラス、ロウソクなどをあしらったワッペンが付いていました。舟木さんのオリジナルで、ワッペンは自分で購入し、松竹の衣装部さんに縫い付けてもらったという“お茶目な説明”がありました。それに、素足に黒の革靴。素足にしたのは後で分かりました…。

 

 オープニングは「WHITE」に収録され、のちにシングルカットされた「みんな旅人」。歌い終えた舟木さんは「10日間お世話になりました」と頭を下げた後、「自分の中では外せない『WHITE』です。痛烈な思いを綴った足跡の一つとして歌いたい」として、「都会の子守歌」「青春ばなし」「潮どき」「~糸車~」「れ・く・い・え・夢」「くやしまぎれ」「斜me節」などを続けました。

 

 舟木さんは“寒い時代”にレコード会社が提案してくる曲に対して、今の自分には合っていないと、レコード化することをことごとく躊躇い、結局、自ら作詞・作曲して“今歌いたい歌”を出していました。それが「WHITE」Ⅰ~Ⅲを産み出すことになったという経緯があります。舟木さんの当時の“魂”が込められていて、貴重な3部作だと思います。

 

 そして、「とうとう78になった。あと何年現役で出来るかどうか。これからはブルースを毎年2枚ずつ出していきたい。僕らが青春時代にいいなと思った部分をストレートにやればいいと思う。今、西田佐知子さんの『東京ブルース』や『アカシアの雨がやむとき』などを考えている」と具体的に“今後”を話しました。「湖愁」と同様、発売したレコード会社に“仁義”を切って、アレンジをし直して“舟木の歌”としてリリースされるんでしょう。

 

 次に、「ここからはストレートなラブソングを」として、まず「ガラスの架橋」。階段の中ほどで腰をかける。黒革靴に素足であることが分かる。座っている舟木さんにスポットライトが当たり、「End・Fin・Fine(ラストシーン)」を歌い上げると、アコーディオンの演奏で流れる映画「太陽がいっぱい」のテーマ曲をハミング。すぐにピアノにブルーのライトが当たり、「太陽がいっぱい」の独奏が始まる。会場から大きな拍手。曲が終わるとシルエットで舟木さんが浮かび上がり会場が明るくなる―。

 

 

 自分を脇に置いてピアノの独壇場となったため、「おいしいところを全部持っていかれた。3千円くらい貰わなくちゃ」と冗談を飛ばしながら、上着を脱いで「ROCK’N ROLLふるさと」でスタンディングへ。舟木さんによる「学園広場」のハーモニカ演奏も聴かれました。この後、いつもの“休憩タイム”。舟木さんは夜中の1時ごろに寝て、朝6時に目覚める。麦茶を飲んでまた2時間ぐらい眠る。公演中は体が疲れているのかぐっすり眠れる―といった話をしていました。

 

 黒のジャケットを羽織って後半に突入だ。胸にオレンジの花と黒白の模様の入ったブローチも。ヴァイオリンの向島ゆり子さんが加わり、階段の中ほどで組曲「日本の四季~春夏秋冬」(作詞・西條八十、作曲・船村徹)を歌い上げる。会場の雰囲気が最高潮に達した時、舟木さんが突然、「2階で写真を撮っている人がいる。60年こうしてやってきて、何を見てきたのか。怒っているんじゃない。ただ悲しい…。歌い手には集中して歌わせてほしい」。怒りを抑えながらアエテの発言でした。ノッテル舟木さんには、ステージに集中して歌わせてあげたかったですね。

 

千穐楽も「満員御礼」になった新橋演舞場

 

 その後、何事もなかったように、ステージの構成としては初の試みとして、デビュー当時の歌を「高校三年生」から発売順に並べて歌った。ラストは台詞入りの「君たちがいて僕がいた」。照れくさいからと避けている(?)舟木さんにとって本当に久しぶりの台詞入りで、会場からは大きな拍手が。途中での拍手は不要と言われても、こればかりは仕方ないですよ、ね。凄くいい感じだったので、これからは照れずに台詞入りに挑んでいただきたいですね。

 

 いったん幕が下り、コーラスの女性陣による「高校三年生」のハミングの中、再びアンコールの幕が上がると、舟木さんは階段から降りてきて「改めまして、60年有難うございました。悔しいことやいろんなことがあった中で歌ってきて、こうして今も皆さんの前に立っている。歌い手としてこれほどの幸せはありません。8(78)まで来たので0(80)までは行きましょう」と、60周年記念公演の締めくくりの挨拶をしました。

 

 そして、「この1年いろんなことがあった。一つの歌に託したい」として、特に歌の説明もないまま、2月20日に亡くなった盟友・西郷輝彦のデビュー曲「君だけを」を、横に輝サンがいるかのように歌いました。舟木さんは果たせなかった最後の共演をここで実現させました。涙を拭うお客さんもいたと思います。最後に「『湖愁』という歌を歌ったおかげで、次の一歩を踏み出せそうです」と語り、すっかり舟木さんの歌になった「湖愁」を歌い上げました。

 

 舟木さんの「出待ち」。いつもは楽屋口の周辺に人垣が出来ますが、最終日は道路の両側にびっしりで、宝塚もびっくり!! 舟木さんはステージで余程熱くなられたんでしょう、Tシャツにお気に入りのネルシャツを肩にかけただけの姿。肩掛けのシャツは、私の記憶に間違いがなければ、「歌の手帖」の表紙、今回のコンサート前の取材会でも羽織っていましたね…。ホントにお疲れさまでした。

 

 

 オリコンの週間シングルランキングによりますと、「湖愁」(下の写真)はTOP50の中の最高順位44位。演歌歌謡シングルランキング(12月26日付)では2位。1位は一条貫太の「なぁ親父よ」、3位は氷川きよしの「甲州路」となっています。この歌には舟木さんの沢山の“物語”が詰め込まれています。

 

 

 

 

 ロングコンサートの最終日、東京・新橋演舞場で2023年3月27日から29日まで、「シアターコンサートin新橋演舞場」が行われることが立て看板(下の写真)を作って発表されました。大阪・新歌舞伎座でのシアターコンサート(3月18日から23日)の4日後のスタートです。楽しみです。