天使病 | 台本、雑記置場

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 ・天使病・

 

 

 いるはずのない人を探すのです。
 選ばれた特別な人を探すのです。
 そうして私たちは迎え入れていきます。

 天使として。
 悪魔として。
 奴隷として。神として。

 いつだってどこだって。
 私たちは『選択する側』にいるのです。
 ほんの少しだけ高いところに立って、見下ろしているのです。
 慈愛の心という建前と、自分じゃなくて良かったという本音。

 羽ばたく音は虚しい鈍色。(にびいろ)
 突き刺す根は眩しい赤色。
 真っ白なその根本を引きちぎれば、ほら。
 あなたたちのところに真っ逆さまに堕ちていく。

 でも
 そんなことは決してさせないから。
 私たちの番はいやだから、ルールを作る。
 『教え』『経典』と名を変え手を変え品を変え。
 私たちを守る見えない信仰を作るのです。

 素敵でしょう?
 信じれば救われる。さあ、眼(まなこ)を閉じて?
 何も怖くなくなる。ほら、心を開いて?
 全て忘れ楽になる。ねえ、弱さを見せて?

 いつだってどこだって。見えない鎖があなたを縛る。(しばる)
 夢だってうつつだって。見ている私はあなたを謗る。(そしる)
 誰だってあなただって。伸ばした腕でその首を括る。(くくる)

 存在しない曲がり角を見つけてしまった時。
 あなたは見ないふりをして通り過ぎることが出来る?
 最初からやり直すことを選べると知った時。
 それでもずっと目を閉じて教えを歩くことが出来る?

 私はいつでも聞いてるよ。
 私はいつでも見ているよ。
 私はなんでも知ってるよ。

 ひれ伏すあなたの俯く横顔。
 薄っすら開いたまぶたのしたで。
 見てはいけない『本当』を見てる。
 見られているとも知らないで。
 
 忠誠綴ったその腕で、
 永劫誓ったその口で、
 真暗望んだその裏で、
 見つけてしまった甘い蜜。

 自由という名の狡い罠。
 手にしてしまえば身は軽い。
 だけど身体は行き場所失くす。

 だから、ホラ
 もう一度傅いて。
 もう一度泣いて見せて。
 もう一度苦しい声を聴かせて。

 なんにも考えなくていい。
 思考は罪の始まりだから。
 ここは天国、あなたは幸せ。
 なんにも心配、いらないからね。

 

 

 

 

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