駆け出し幽霊
・隼(はやと):♂
ゲーム好きの青年。あまり物事に動じない性格。
・幽霊(ゆうれい):♀
なりたての見習い幽霊。生前のドジな性格が抜けきっていない。
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~劇中表記~
・隼:♂:
・霊:♀:
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霊:恨めしい…怨めしい…。あの人が…いいえ、毎日を幸せそうに生きている人間全てが
ウラメシイ…。この恨み、はじゃじゃずにおきゅべ…はぁ…また噛んだぁ…。
あたしに幽霊の才能なんてないよ~。幽霊ガイドブック見ても、全然わからないし…。
…えーっと、幽霊マニュアル1!まずは人間を驚かすこと!窓からこっそり覗き、
そっと隙間風をおくる!
うーん、と。うーん、と。もうどこも電気消えてて寝てそうだよぉ…あ、あそこ電気
付いてる!いってみよう。
隼:ていっ!この!この!…ちっくしょー!全然クリア出来ない…このボス強すぎだろぉ…。
霊:(おー、夜更かしでゲームしてるのかぁ…楽しそうだなぁ…邪魔しちゃ悪いかなぁ…)
隼:くっそー。またセーブポイントからかよぉ~。今日はこれクリアするまで寝ないぞー!
霊:(えー、それは体に良くないぞー。よーし、この人をびっくりさせて、ゲームをやめさせ
ちゃおう!)う~ら~め~し~や~…くらえ~、隙間風~!
隼:あー、窓から良い風入ってきたなぁ。少し休憩するかー。熱中しすぎて疲れたしな~。
今度こそあいつをやっつけるぞー。集中、集中…。
霊:あれ…有効活用されちゃった…。ダメダメ!あたし幽霊なんだから!驚いてー!
えーっと幽霊マニュアル2!窓をそっとノックする…えぃ!
(SE:ノック)
隼:おーっし。充電完了!気合い入れていくぞ!よいしょっと…。
霊:はわっ!へっどふぉん!ダメー!!
隼:…ん?なんだお前。そんなとこで何やってるの?そんな変な格好でさ。
霊:あ、こんばんは~。…じゃない!ウラメシヤ!
隼:…は?
霊:う、うらめしや~…。
隼:こんな時間に女の子が人の家の庭先で何やってるんだよ、家出?
霊:お、女の子!?これでもあたしは立派な大人なのよ!幽霊期間あわせたら20歳超えてる
んだからねっ!
隼:…なにそれ、なりきり?コスプレ?しかし渋いチョイスだなぁ、幽霊て。なんかそんな
アニメとかあったっけ?
霊:いやあの、だからあたしは幽霊…。
隼:あー、わかったわかった。んじゃ、気をつけて帰れよ。
霊:ええええ!?幽霊に帰れって!召されろって事ですか!?ひ、ひどい…うぇぇん…
隼:おいおい立派な大人なら泣くなよ…。あ、コスプレする人か…お前、ゲームとか好き?
霊:ほえ?ゲームですか?生前は割りとよくやりましたよー!
隼:うまい?
霊:よくわかんないですけど、一緒にやってる友達からは「地雷!」って呼ばれてたんで、
きっとうまいです~。
隼:…それ、多分下手なやつのことだぞ。
霊:そ、そんなこと無いですよ、うまいですもん!
隼:ふーん…。なぁ、ほんとに家出中の女の子とかじゃないんだな?
霊:違います!幽霊です~。
隼:幽霊コスプレなんてしてるけど、ちゃんと大人なんだな!?
霊:いやこれはコスプレじゃなく…はぁ。ええまぁ、この世には20年以上いますが…
隼:んじゃお前、ちょっとこのゲーム手伝ってくれよ~。一人じゃ全然クリア出来なくってさ。
さっきから苦戦してるんだよ。
霊:えー!幽霊が人間の手伝いなんて出来ないですよー!マニュアルにそんなのないし…
隼:なんだ、やっぱり下手な地雷か…(ぼそっと)
霊:あー!今下手って言いましたね?言っちゃいましたねー?地獄耳なんですよ!幽霊は。
隼:なんだ聞こえたのかよ…というか、そろそろゲームやりたいんだけど…手伝わないなら
帰ってくれないかなぁ。
霊:うー!いいですよいいですよ、あたしのちょーぜつてくにっくで下手じゃないってこと
証明してみせますもん。えーっと、物に触る方法は…マニュアルを…こうするのか・・・、とう!
隼:…何一人で本見ながらぶつぶついってるんだよ…。
霊:あ、な、なんでもありませんー。
隼:じゃ玄関あっちだから、開けてくるから入ってきて。
霊:えええ…幽霊が玄関からお邪魔しまーす。なんて出来ません~。
隼:じゃあどうするんだよ…妙に凝ってるよなぁ…。
霊:そこはやっぱり~、窓からうらめしや~って…。
隼:じゃあもうそれでいいから。床は汚すなよな!靴脱いで早く入ってきて。
ほい、コントローラーと説明書置いとくから。
霊:はう、展開が速い!お、おじゃま…じゃなかった。うらめしや~。
(SE:窓を開ける音)
隼:俺が前衛(ぜんえい)で、お前は後ろから援護な。
霊:ほえ~、しゅ~てぃんぐげーむですか~。ゾンビとか出てくるんですね…こ、怖いです…
隼:…幽霊コスプレしてる奴が、ゲームのゾンビ怖いって…なんなんだよ…
霊:だってだってだって、窓からがっしゃーん!とか、壁からどっかーん!とか天井から
どんがらがっしゃーん!ってくるんでしょお~、怖いですよ!
隼:擬音ばっかじゃねぇか!あーもう、地雷とか下手って言われたくないなら手伝えよ~。
霊:は~い、ううう、こあい…こあい…
隼:そっから敵が飛び出してくるからな!気をつけろよ。
霊:ええええええ、そんなの進めません~、怖いー!
隼:ここで来る、ってわかってても怖いのかよ…。
霊:ううう…うわ!出た!このおばけめぇー!この!この!
隼:ばっか、俺にも当たってるって!全然援護になってねぇよ!
霊:ああ、ごめんなさいー!えーっと、これは…しゅりゅうだん?
隼:ちょっとまてーぃ!それは投げると周りも巻き込んで…
霊:とーぅ!
隼:やりやがった! …あー、またやり直しだぁ…。
霊:ご、ごめんなさい~…。
隼:やっぱりお前地雷じゃないか!もういい、お前が前で暴れてろ!
霊:ま、前にでるんですか!?こここ、こわ…、ま、まままかせてくださいぃぃ…
隼:…ダメかもしれんなこれは。。。
霊N:そんなこんなで~
隼:よっし!たおしたぁ!
霊:うわー!やったぁぁぁぁ~!やっつけたー!
隼:あ~、つっかれた。なんとかクリア出来たな!
霊:なんか、達成感ですね!も~、最後の連携なんてかんぺきぃ~!で。
隼:おうおう、あれはうまくいったな!って、もう明るくなってきちゃったな、ははっw
霊:えええええええ!?朝になっちゃう!?あ、あの、あたし帰ります!お邪魔しまし…
じゃなかった、うらめしや!
隼:なんだ?へんな門限だな…。おーい、また手伝いに来いよな~。あれ、もういないや。
とろくさそうに見えて、意外と足速いんだな~。
霊:あ~、面白かった~!また遊びにいっちゃおっかな~♪ …ああ!今日もマニュアル一個も
こなせなかったよ~!うわぁぁぁ、閻魔(えんま)さまに怒られるぅぅ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
終わり
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